刑罰の中でも罰金刑を課す手続きとしては,検察官が公判請求の上通常の公開の法廷で審理の上でなされた場合と略式手続によりなされる場合とがあります。
このうち,略式手続については,簡易裁判所が管轄するもので,100万円以下の罰金(又は科料)のみ科す場合に適用されます。
刑事訴訟法第461条 簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。
略式手続にも被疑者が在宅の場合と身柄を拘束されている場合とがあります。
後者の場合,処分日(たいていは勾留期限の満了日)の2~3日前くらいに検察官から連絡があり,略式手続とする予定であることや罰金の見込み額が伝えられ,また,当日その金額を持っていく予定の人やその連絡先を尋ねられます。
弁護人は,家族などに連絡して伝えられた罰金額を準備してもらうように伝え,その金額を持参して指定された日時に検察庁の徴収係に行くように伝えます。
処分日当日,被疑者は検察庁に送致されて,検察官から略式手続の説明を受けて手続きに同意すると(略請),検察官が簡易裁判所に略式手続の請求を行います。
刑事訴訟法第461条の2 検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式手続によることについて異議がないかどうかを確めなければならない。○2 被疑者は、略式手続によることについて異議がないときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。
やや時間があいて,裁判所が略式命令を発令し,命令書が検察庁に届けられ,罰金を納付するという流れです。
本来,判決が確定しない限り刑罰は執行することができませんが,略式命令の際には仮納付といって仮に罰金を納付することを命じることとされていますので,これにより,処分当日に罰金を納付するという根拠となっています。
刑事訴訟法第348条 裁判所は、罰金、科料又は追徴を言い渡す場合において、判決の確定を待つてはその執行をすることができず、又はその執行をするのに著しい困難を生ずる虞があると認めるときは、検察官の請求により又は職権で、被告人に対し、仮に罰金、科料又は追徴に相当する金額を納付すべきことを命ずることができる。○2 仮納付の裁判は、刑の言渡と同時に、判決でその言渡をしなければならない。○3 仮納付の裁判は、直ちにこれを執行することができる。
罰金刑の処分がされた場合には勾留状は失効するため,被疑者は釈放されるということになります。
刑事訴訟法第345条 無罪、免訴、刑の免除、刑の全部の執行猶予、公訴棄却(第三百三十八条第四号による場合を除く。)、罰金又は科料の裁判の告知があつたときは、勾留状は、その効力を失う。
東京地検の場合においては,午後3時半過ぎ頃から,罰金を持っていく人が罰金の徴収係の待合室で待機し,1時間くらい待っていると,略式命令を受けた人たちが連れてこられてその場で身柄を解放され会うことができ,罰金を納めてそのまま一緒に帰るという流れになっています。