天皇陛下の退位と、皇太子さまの即位に伴って元号が改められる「改元」まであと1年となり、各地の自治体は、文書やシステムといった分野で改元を見据えた対応に乗り出しています。
政府は、皇太子さまが即位される来年5月1日、元号を改める「改元」を行う方針です。
書類などの元号の修正を想定した準備が、「はんこ」のメーカーの間で早くも進んでいます。東京 豊島区にあるはんこの製造販売会社では、昭和から平成に元号が改められた際、書類などの元号を修正するためのゴム印の注文が殺到したといいます。
「平成」のゴム印に加え、「昭和」の表記を修正する「二重線」のゴム印も製造が追いつかなくなり、連日、社員が総出で深夜まで働いて、なんとか注文に応じたということです。(4月30日NHKニュースウェブから一部引用)
来年の今頃は新しい元号による新しい時代が始まっているのだと思うと感慨深いものがあります。
裁判所を含めた公的機関においては業務に際して元号が用いられるところ(西暦を表記するとしても元号との併記が一般的),弁護士を含めた民間において元号を使用することは強制されないので,年月日の表記において元号を使用するかどうかは自由です。
弁護士業務についていえば,具体的には,通知や裁判所に提出する訴状や準備書面などに記載する年月日(作成日付のほか時期を特定するために年の表記を記載する場合など)について,元号ではなく西暦で表記するという弁護士もいますが,多くは元号により表記しているほうが多数かなという印象です。もっとも,裁判所が割り振る事件番号は元号が使用されており,裁判所に提出書面には事件番号を記載しなければならないため,この部分については元号を使用しなければならないことになります。
記事では「はんこ」のことが取り上げられていますが,前記のとおり裁判所では事件番号といって各事件に番号を付しており,「平成30年(ワ)第●●●号」のように元号を用いることになっています。記録にスタンプするために「平成 年( )第 号」というスタンプを事務所で準備していることが多いのですが,ニッチではありますが,弁護士業界ではこのスタンプの特需が起こりそうです。
元号を使うことが多いとはいえ,例外的に西暦をメインに使うこともあります。
それは当事者などが外国生まれの外国人などの場合で,外国生まれ外国育ちであるのに,例えば「私は平成元年にアメリカで生まれましたが・・」という内容の陳述書ではなんとなくおかしいので,この場合は西暦を使って表記していくようにしています。