https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180306/k10011352861000.html?utm_int=news-social_contents_list-items_005

 

 

 

警察によりますと、容疑者は、先月26日、SNSで知り合った埼玉県内に住む女子中学生を誘い出して自宅に連れ込み、およそ1週間住まわせたとして未成年者誘拐の疑いが持たれています。

女子中学生は先月25日に、「数日で帰ってくる」と家族に伝えて家を出たあと行方がわからなくなり、先月28日に母親が警察に届け出ていました。

(3月6日NHKニュースウェブから一部引用)

 

未成年者誘拐罪の条文としては次のとおりとなっています。

 

 

(未成年者略取及び誘拐)
刑法第224条 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

 

 

「略取」とは暴行脅迫を手段とすることをいい,「誘拐」とは甘言を用いて相手の判断の適正を誤らせることを言うとされています。

本件では,暴行や脅迫を用いたものではなく,SNSで誘い出したということなので,「誘拐」ということになっています。

 

 

ところで,本件では被害者である女子中学生が自ら家出をしたということで未成年者本人の同意があったという評価もあり得るところです。

この点,未成年者略取・誘拐罪の保護法益は,被拐取者(本件の女子中学生)の自由というだけではなく,被拐取者に対して有する監護権・親権も保護法益であると解されています。

 

 

そのため,例えば,自分で自由に動けない嬰児を連れ去ったという場合には,その監護権・親権を侵害したものとして未成年者略取罪が成立するとされています。

本件でも,中学生という被拐取者の年齢を考えると,これを誘拐することは,たとえ女子中学生による真意に基づいた同意があったとしても,その監護権・親権を侵害する行為であるということができるので,未成年者誘拐罪が成立するものと考えることができます。