家事事件において「審判」という形式で家庭裁判所の判断が示された場合,その判断に対して不服がある当事者らは,高等裁判所に対し即時抗告という手続きをとることができます。
家事事件において審判がなされるのは,婚姻費用分担事件や遺産分割事件のような,通常の裁判と同様,申立人と相手方がいて主張立証をし合った後に判断として下されるタイプのものと後見事件のように相手方がいないタイプのものとがあり,即時抗告をすることができる者については,家事事件手続法によって個別に定められています。
即時抗告ができる期限は,原則として審判の告知を受けた日から2週間以内で,抗告状を原裁判所(審判を下した家庭裁判所)に対し提出します。
(即時抗告期間)家事事件手続法第86条1項 審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、二週間の不変期間内にしなければならない。ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
抗告状自体には「追って主張する」とのみ記載して具体的な理由までは記載しないことも多いですが,その場合,即時抗告を提起した日から2週間以内に具体的な理由を記載した書面を原裁判所に提出しなければならないことになっています。
家事事件手続法規則第55条【原審判の取消事由等を記載した書面】審判に対する即時抗告をする場合において、抗告状に原審判の取消し又は変更を求める事由の具体的な記載がないときは、抗告人は、即時抗告の提起後十四日以内に、これらを記載した書面を原裁判所に提出しなければならない。
この期限に違反した場合であっても,そのことのみをもって抗告が却下されることはないとされています。即時抗告においては,民事訴訟法の規定が準用されていますが,理由書の提出が遅れた場合には上告を却下する旨の民訴法315条,316条の規定は準用されておらず,控訴審の規定が準用されており(家事事件手続法93条3項),民事訴訟における控訴においては控訴理由書の提出期限は訓示規定であると解釈されているため,家事審判の即時抗告においても同旨であると考えられるからです。
抗告状については原裁判所に提出され,原裁判所は,抗告に理由があると考えたときは,その審判を更正することができます(家事事件手続法90条 いわゆる「再度の考案」)。
(原裁判所による更正)家事事件手続法第90条 原裁判所は、審判に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その審判を更正しなければならない。ただし、別表第二に掲げる事項についての審判については、更正することができない。
高裁に記録が送られて抗告審が始まると,高裁において審理し判断が下されることになります。
抗告審において準用される家事事件手続法71条により,審理を終結する日が定められると,高裁から審理終結日が記載された書面が送られてきます。この日を過ぎると資料を提出しても考慮されなくなってしまうので注意が必要です。
(審理の終結)家事事件手続法第71条 家庭裁判所は、別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては、申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を定めなければならない。ただし、当事者双方が立ち会うことができる家事審判の手続の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。