http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170919/k10011147861000.html?utm_int=news-social_contents_list-items_028

 

 

業界団体では、客が転居して連絡が取れなくなっても、預かった品物は勝手に処分できず、多くの店が困っているとして、新たにポスターを7500枚作成し、客にできるだけ早い引き取りを呼びかけるほか、国にも対応策の検討を求めていくことにしています。

(9月19日NHKニュースウェブから一部引用)

 

物を預かる契約を寄託契約といいます。クリーニング店と顧客との間の法律関係は,預けられた物(衣服等)をクリーニングすることが主なものですが,それには当然一定期間,当該衣服等を預かって補完することも含まれますので,クリーニング契約と寄託契約が複合された契約関係ということになろうかと思います。

 

 

寄託契約については民法や商法に規定が置かれていますが,寄託者(顧客)が預けた物を取りに来ないということは想定していないようで,寄託物返還請求権が消滅時効にかかるとされる期間(民事で10年間 商事で5年間)が経過しない限り預かり続けなければならないということになりそうですが(もっともその期間内であっても,権利の濫用といった一般条項により処理されることも多いと思います),当事者間で一定期間経過した場合には処分するという特約を締結しておくことも有効であろうと考えられます。

もっとも,町中の小さなクリーニング店ではそのような特約をしていないこともあるでしょうし,記事中にもあるように,特約していたとしても顧客から預かった物を処分できないという心理が働くことも容易に推察が付くところです。何年も経ってから「あの時預けたものはどうした?」と問い合わせてくる時点で困った顧客であり,相手にするのも疲れそうです。

 

 

この点,最近の民法改正により寄託契約の部分も改正されていましたので,どんなものかと調べてみましたが,私が見た限りでは,預かる前は契約を解除できるとかどうでもよいような事項が加わっているだけで,当事者を規律する分かりやすいルールが示されているということではないようです。