http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170830/k10011118501000.html?utm_int=news-social_contents_list-items_015

 

岐阜県高山市のホテルで、大阪や京都などから合宿に来ていた予備校の生徒104人が腹痛や下痢などの症状を訴え、このうち9人から食中毒を引き起こす細菌カンピロバクターが検出されました。入院した人はいませんが、岐阜県はホテルの食事が原因の食中毒と断定して、調理施設を営業禁止の処分としました。

(8月30日NHKニュースウェブから一部引用)

 

 

昔はただの腹痛,風邪ということで済まされていたことも多かったのでしょうが,最近では季節を問わず食中毒が発生しニュースとなっています。

 

 

食中毒が発生した場合の被害を受けた顧客と飲食を提供した店舗との間の法律関係としては,主として,店舗は顧客に対し安全な食事を提供すべき義務(債務)を怠ったことを理由とする損害賠償義務(債務不履行責任)を負うかどうかということが問題となります。

 

 

 

食中毒が発生した場合,そもそも,店舗が提供した食事が原因がどうかが争われることがありますが,多くは保健所の検査結果などをもとに原因の判断がされることになります。

 

 

債務不履行責任については債務者(店舗)の過失があることも条件となり,店舗側としては,衛生マニュアルの整備をしていたことやきちんと履行していたことなどを主張することが多いと思われますが,被害が発生している以上,過失があったと判断されることも多いように思います。

 

 

裁判例としては,レストランで食事をした顧客が食中毒となったという事案において,レストラン側の責任を認めた上で,顧客からの5万円の請求に対して,実費損害の合計5976円(保健所への検査,書類受け取りのための交通費合計1740円,被告等との電話代合計936円,廃棄せざるを得なくなった食料の代金合計3000円,下痢により余分に支出したトイレットペーパーや水道代合計300円)と慰謝料2万円(症状発生から消失まで3日間)の合計2万5976円を認めたという事例があります。

本件では示談交渉も行われたようですが,レストラン側が食事代2000円の返金とお詫び1万円を提案したようですが,顧客側が納得しなかったようです。