https://mainichi.jp/articles/20170817/reu/00m/030/008000c

 

 

レバノン議会は16日、レイプの加害者が被害者と結婚すれば罪を免れることができるとする法律の条項を廃止した。

国際団体によると、レイプ被害者との結婚で加害者の免罪を今も認める国にはバーレーン、イラク、クウェート、フィリピン、タジキスタンなどがあるという。

(8月17日毎日新聞ニュースから一部引用)

 

我が国においては強制性交等罪などの罪について,被害者と婚姻したからといって免責するという規定はありませんが,誘拐罪について,次のような規定があります。

 

(未成年者略取及び誘拐)
刑法第224条  未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
 
(営利目的等略取及び誘拐)
刑法第225条  営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
 
(親告罪)
刑法第229条  第二百二十四条の罪、第二百二十五条の罪及びこれらの罪を幇助する目的で犯した第二百二十七条第一項の罪並びに同条第三項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、営利又は生命若しくは身体に対する加害の目的による場合を除き、告訴がなければ公訴を提起することができない。ただし、略取され、誘拐され、又は売買された者が犯人と婚姻をしたときは、婚姻の無効又は取消しの裁判が確定した後でなければ、告訴の効力がない。

 

すなわち,わいせつや結婚の目的をもって被害者を誘拐(略取)した場合,被害者の告訴がなければ起訴ができない親告罪とされているところ,犯人と被害者と婚姻したときは,被害者が行った告訴には効力がなく,婚姻の無効や取消し(離婚ではありません)の裁判が確定した後でなければ告訴することができないものとされています。

 

 

そんなことがあるのかという感じもしますが,古い裁判例においては,姦淫の目的でJALの副操縦士を名乗って,JALの「エアガール」(判決文のまま)に推薦するなどと言って未成年の女性を連れ出して姦淫したという事件において,被加害者の女性が告訴したものの,その後犯人と婚姻したため,遡って告訴が無効とされたという事例があります(昭和32年3月12日名古屋高裁金沢支部判決)。