http://www.asahi.com/articles/ASK4S5GBPK4SULFA02C.html
多くの銀行が無担保で多額の貸し付けを行っている「カードローン」について、日本弁護士連合会(中本和洋会長)は、貸付額が「年収の3分の1超」にならないようにすることを求める声明を21日付で出した。消費者金融会社は貸金業法で「3分の1超」の貸し付けが禁じられているが、銀行は規制外。日弁連は多重債務につながることを懸念している。
(4月24日朝日新聞デジタルから一部引用)
消費者金融が個人にお金を貸すのも,銀行が行う個人向けカードローンも経済的には同じことですが,法律的には,貸金業法2条1項2号において,銀行法に貸付業務が規定されている銀行は貸金業法の対象外とされ,したがって貸金業者に適用される総量規制についても適用外ということになっています。
もっとも,銀行系のカードローンには必ずといってよいほど消費者金融会社による信用保証が付けられており,返済ができなくなると,消費者金融会社が銀行に代位弁済して債権者が消費者金融会社に切り替わってしまうことから,実態としては消費者金融から借りているのと同じことであるのではないかというのが問題の所在です。
(定義)
債務整理関係の業務については最近それほど扱いませんが,時折扱うことがあると,銀行系のカードローンや代位弁済後の消費者金融会社が債権者となっていることがほとんどで,また,債務額としても個人が借りるにしては金額が大きいなと感じることがあります。
多重債務を防止するという側面から銀行系のカードローンについても総量規制に服させるべきだという視点に加えて,法が銀行による貸し付けを貸金業者による貸し付けと異なるものとして取り扱っているのは,銀行業が有する公共性にあり,銀行が行なう貸し付けは,基本的には事業価値を見極めて付加価値がつけられる事業に融資し,社会経済が発展するために必要な血流としての役割があるからこそ公共性が認められているわけで,それだからこそ銀行が苦境に陥った際には公的資金によって救済もされるということになります。
武富士やアイフルといった大手の消費者金融会社が経営難となった際に公的資金を注入しようなどという議論はありませんでしたが,個人に無担保で融資するという行為には社会を発展させて社会全体が得られる利潤を拡大するという側面がなく,その点で公的資金を使ってまで共済すべき公共性が認められないからということになります。
このような観点からすると,公的資金によって救済され得る立場にある銀行が,消費者金融会社による保証を付けることにより実質的に貸金業者と同じことを行っているのであれば,それはおかしいということになり,貸金業者と同様の規制をかけるべきではないかという意見も十分に説得的であろうと思われます。