判例タイムズ1431号で紹介された事例です(東京地裁平成28年3月25日判決)。
 
 
ホステスやホストの労働者性というのは時折裁判で争われることがある類型で,ホステス(ホスト)が店側に対して,自らが従業員であったとして,雇用契約に基づく賃金等の支払いを求めるということになります。
 
 
本件はホストの事案ですが,判決文によると,店の運営会社の創業者はホストクラブ業界では著名な人物であり,昭和46年に本件の店舗を開店し,これは現存する日本のホストクラブでは最古なのだそうです。
 
 
 
本論に戻すと,労働者であるかどうかについては,「使用従属関係」にあるかどうかということが判断基準となるところ,①仕事の依頼への諾否の自由②業務遂行上の指揮監督③時間的・場所的拘束性④代替性⑤報酬の算定・支払い方法などを主要な判断要素とするとの労働法の大家による論考があります(菅野和夫「労働法 第11版」/判例タイムズの記事から)。
 
 
本件のホストは,支払われる報酬はあくまでも自分の客の売り上げに応じて支払われるものであり時間によって算定されるという要素は薄いこと,時間的関連性が薄いことの表れとして出勤時間については客の都合が優先されること(自分の客が来店する時間に来ればよい),必要な衣装等は自費で購入していたこと,ホストと黒服(運営スタッフ)では異なる扱いとされていたことなどから,本件ホストについては会社とは独立して自らの才覚・力量で客を獲得し接客して収入を上げる自営業者であったとして,労働者には当たらないと判断し,請求は棄却されています。