天皇陛下が、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示されていることが分かりました。数年内の譲位を望まれているということで、天皇陛下自身が広く内外にお気持ちを表わす方向で調整が進められています。(7月13日付NHKニュースウェブから一部引用)。
昨年の戦没者慰霊式典での出来事(段取りを間違われてしまわれたこと)は私もリアルタイムに見ていて少し驚きましたし、天皇陛下のお年を考えれば当然のことでもあると思いました。自分の親も高齢化してくる状況を見るにつれ、82歳というお年で公務や祭祀などの激務に当たらなければならないというのは本当に大変だと思いますし(大変だから譲位したいということではなく、すべての公務等を全うできないのであれば譲位したいというお気持ちなのではないかと思いますが)、譲位ということに関してはおおむね国民一般の理解も得られるのではないかと思います。
明治時代に作られた皇室典範では天皇が高齢化するということ、もう少しいうと、衰えながらもそれなりに元気に高齢化するというを想定していなかったものと考えられ、そのため、摂政の制度も天皇に「身体の重患又は重大な事故」があるときに適用されるものとなっています。
現在の天皇陛下のように、それなりに衰えは出てきたものの元気ではあるというグレーゾーンに対応できる制度がないということになります。
本来であれば、政府の側でしっかりと対応を考えていかなければならないところなのでしょうが、なかなか積極的に問題提起して議論するということを避けがちな論点でもあることから、議論が進みにくいということもわかるのですが、皇位継承問題も含めてきちんと議論すべき時期に来ていると思います。
この点でいうと、4年後の東京五輪が開催されているまさにその時に何かあったというようなケースについてもきちんと考えておかなければなら名のではないでしょうか。
それにしても、最後の譲位というのは、江戸時代の後期の光格天皇から仁孝天皇への譲位で文化14年(1817年)、その後光格上皇が亡くなったのが天保11年(1840年)ということで、明治維新の英傑たちの中でも天保生まれの人たち(坂本龍馬、木戸孝允など)ですら、ものごころついた時には上皇の存在がなかったということになるのですから相当古い話です。
(光格天皇)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E6%A0%BC%E5%A4%A9%E7%9A%87
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