日本人と婚姻して日本に住んでいる外国人は「日本人の配偶者等」として在留資格が与えられ,この場合,その活動には何ら制限(労働時間の制限など)がありません(入管法2条の2,別表2)。
夫婦関係が悪化し別居などに至り,婚姻関係の実質を欠いていると判断された場合,「その配偶者の身分を有する者としての活動を継続して六月以上行わないで在留している」(入管法22条の4第1項7号)として在留資格が取り消されてしまう可能性があります。具体的には,同居の有無,別居の場合の連絡の有無や程度,生活費の分担の有無や状況,別の異性との交際や同居の有無,就労活動の有無,状況といった事情を総合的に考慮して判断がされることになりますが,離婚調停や離婚訴訟の手続き中である場合には,婚姻関係の実質が失われていたとしても,在留していることについて正当な理由があると解されており(在留していなければそのような手続きを行うことができないため),その手続き中は在留資格が取り消されるということはありません。
(在留資格の取消し)入管法第22条の4 法務大臣は、別表第一又は別表第二の上欄の在留資格をもつて本邦に在留する外国人(第六十一条の二第一項の難民の認定を受けている者を除く。)について、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、法務省令で定める手続により、当該外国人が現に有する在留資格を取り消すことができる。七 日本人の配偶者等の在留資格(日本人の配偶者の身分を有する者(兼ねて日本人の特別養子(民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百十七条の二の規定による特別養子をいう。以下同じ。)又は日本人の子として出生した者の身分を有する者を除く。)に係るものに限る。)をもつて在留する者又は永住者の配偶者等の在留資格(永住者等の配偶者の身分を有する者(兼ねて永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者の身分を有する者を除く。)に係るものに限る。)をもつて在留する者が、その配偶者の身分を有する者としての活動を継続して六月以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)。
在留資格である「日本人の配偶者」という要件については,単に法律上の婚姻関係があるというだけでは足りず,当該外国人が日本において行おうとする活動が日本人の配偶者の身分を有する者としての活動に該当することが必要であるとした判例があり(最高裁平成14年10月17日),在留資格の更新にあたっても,婚姻関係の実質が問われるということになります。
離婚が成立した場合には「日本人の配偶者」という在留資格を失うことになりますが,日本に住み続けるためには他の在留資格への変更をすることが必要になります。
当該外国が親権者となっている日本国籍の未成年の子がおり,引き取って育てているような場合には,「定住者」としての在留資格が認められることになります。