判例時報2255号で紹介された事例です(東京地裁平成27年1月13日判決)。



弁護士4名が所属していた弁護士法人にアルバイトとして採用され、その後、正社員となった原告が、採用から約5年後、能力不足を理由として解雇されたことから、解雇無効を争うとともに、未払い賃金のほか、パワハラによる慰謝料を求めたという事案です。




裁判所により認められた具体的なパワハラ行為としては、

・弁護士法人の事務局長により、大きく乱雑な文字で「甲野様(原告)へ はあ-??」時効の事ムで受任(@52500)じゃないんでしょう? なぜ減額報酬を計上しないの??ボランティア??はぁ-??理解不能。今後は全件丙田さんにチェックしてもらう様にしてください」 と記載した紙を机の上に置いたことは、その文面自体から業務指導の範囲を超えた原告に対する嫌がらせとみるほかない(←よく分かりませんが、おそらく、債務整理事案で、引きなおしの計算をして減額した分の報酬を請求しなかったのでしょう)

・事務局長が原告に対し「徹底的にやるぞ」といったことは、業務改善の提案をした原告に対して逆に不利益を課すことをほのめかすものであり、、不法行為を構成する。

・弁護士費用の一部を清算していなかった原告に対し、事務局長が「これこそ横領だよ」といったことは、原告が当日に交際相手に送ったメールの記載に裏付けられており信用できるものであり、原告を犯罪者呼ばわりしたことは不法行為を構成する

・事務局長が、原告に対し、「気持ち悪い接客をしているから、気持ち悪いお客さんに付きまとわれるんだよ。甲野さん(原告)はこういう気持ち悪い男が好きなのか」といったことは、原告が当日交際相手に送ったメールにより裏付けられ信用できるところ、このような言動は原告に対する侮辱であり不法行為となる(←ちょっとセクハラも入っていますね)。

というものです。




このようなパワハラ行為に対して慰謝料としては20万円が認められました。





なお、本件では能力不足による解雇は無効と判断されましたが、原告は、解雇後、別の弁護士事務所に出勤している姿が目撃されていたところ、いつから勤務しているのか、給与がいくらなのかという裁判所からの釈明に対して回答しなかったことや職場復帰に対して消極的な姿勢を見せていたことなどから、職員としての地位確認については認められませんでした。



本件は控訴されているということです。







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