http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG02H1N_S4A900C1MM8000/
最高裁は2021年をメドに、知的財産や破産などビジネスに関連した訴訟を専門に扱う裁判所庁舎を東京都内に新設する。東京・霞が関にある知的財産高裁や東京地裁の担当部門を移転。「ビジネス・コート」と位置づけ、遠隔地の法廷と結ぶテレビ会議などの設備も充実させて訴訟の迅速な処理につなげる。(9月3日配信の日本経済新聞の記事から一部引用)。
現在,霞が関にある東京高裁・地裁の建物の中に地裁の知財部や知財高裁が(といっても,私自身は知財事件は扱わないのでほとんど縁がないですが),隣り合わせの東京家裁も入っている建物の中に,地裁の商事部と破産再生部が入っています。
破産再生部はもともとは高裁・地裁の建物内にありましたが,裁判員裁判が始まったあおりを喰って,現在の家裁の建物の方に移転したのではなかったかなという記憶です。
記事によれば,知財や破産再生部などを目黒に移転させるということなので,現在,地裁の執行部がある目黒の建物に移るのかなと思ったのですが,どうやら,場所としては執行部とは別の場所のようです。
知財はともかく,破産や再生の担当部が目黒に移転してしまうというのは,私のみならずほとんどの弁護士にとっては痛手です。
現在であれば,破産の申立を一件こなした後,通常の刑事や民事の法廷に出席したりとか,そのまま弁護士会の会合に出席したりということができますが,目黒となるとそういった時間の融通が利かなくなります。期日も入りにくくなってしまうのではないかと思います。
記事では「ビジネス裁判所」などと恰好のいいネーミングを謳っていますが,例えば,破産事件の多くは個人破産や法人といっても個人商店程度のものが多いですし,「ビジネス」というネーミングにはとても違和感を覚えます。
また,地裁の商事部も移転するのかどうかまでは記事でははっきりしませんが,商事事件といっても,多くは,同族会社での親族同士での争いであったりして,その実質は家事事件であったりします。
数年前には簡裁の調停部門も錦糸町に移転してしまいましたし,裁判所の各部門が都内でバラバラに点在しているというのではユーザーからするとちょっと使いにくいので工夫してもらいたいものだと思います。
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