金融・商事判例1426号などで紹介された事例です(東京地裁平成25年8月26日判決)。




事案の概要としては,交通事故で死亡した遺族が,弁護士に委任して加害者に対し訴訟提起しましたが,その際,弁護士との委任契約では,最初に支払う着手金は0円とし,成功報酬について,加害者からの示談提案額と判決で認容された金額の差額をもとに定めるものとされました。

なお,訴訟提起時に必要な印紙代等の実費として約28万円がかかりましたが,これについては,被害者側が加入していた損害保険の弁護士費用特約に基づいて支払われました。



訴訟では遺族側に約5800万円の損害賠償請求権が認められ,そのうち弁護士費用としては合計で約530万円とされました(5800万円から弁護士費用を引いた金額(慰謝料などの損害金の本体部分)が約5270万円となりますが,不法行為の弁護士費用としては損害の1割とされるのが実務の取り扱いなのです)。



判決を前提として弁護士の成功報酬を算定すると327万円となるところ,そのうち遺族側は10万円を支払っており(この分については弁護士費用特約を使っていなかったようです),また,訴訟提起時に損保会社から支払われた約28万円を除いた残金について,弁護士費用特約に基づいて支払いを請求したというのが本件です。





しかし,別件訴訟の判決で弁護士費用としては合計約530万円が認められ,この金額については加害者側の損保会社から支払われているのだから,これに加えて弁護士費用が認められるのはおかしいということで,被害者側の損保会社が争ったところ,裁判所は,本件弁護士費用特約の目的は損害のてん補にあり,他の方法によって既にてん補された損害については支払う必要がないということで,請求は棄却されました。





本件は控訴されているということです。






■ランキングに参加中です。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村



■着手金の簡易見積フォーム
(弁護士江木大輔の法務ページに移動します。)


■弁護士江木大輔の法務ページに移動します。