法律相談を受けていると,調停委員,特に家事調停の調停委員に対する不満というのをよく聞くことがあります。




「このまま調停不調になって訴訟になったらせっかくの相手の提案がひっこめられちゃって取るものも取れなくなってしまうかもしれないよ」

「ここはシロクロ付ける場所ではないから,それを私たち(調停委員)に言われても困るんですよ!」

「裁判所で使っている婚姻費用(養育費)の算定表があってそれでキマリなのだから,事情は分かるけど納得してもらわないと」(この場合,「決まっていることなら調停ではなく,審判してください」と言うとなかなか審判まで回したがらないことが多い)




相談者が言っていることが全部が全部本当かどうかは分らないし,立場によって捉え方(捉えられ方)はさまざまなので,調停委員として特に悪い気はなくても,なにげないひと言が当事者を傷つけているということはありえることです(このことは,弁護士が法律相談を受ける際にもいえることですので,調停委員だけを悪く言うつもりはありません)。




調停委員との折り合いが悪くて,調停室に自分だけで入るのも怖いので,途中から弁護士を代理人としてつけたいという相談者もいます。




今はさすがにそんなこともあまりないのでしょうが,昔は男尊女卑,男は仕事,女は家庭という通念の持ち主が調停委員を務めていることも多かったらしく,飲食店の女性が客の男性から結婚をそそのかされたとして調停したところ,「自分が飲み屋の女だということが分かっているのか」というような言葉を調停委員から投げつけられたなどという話もあったようです(最近読んだ「日本国憲法と裁判官」という裁判官OBが書いた本にエピソードが載っていました)。




弁護士が代理人として調停に臨んだ場合,そこまでぞんざいな扱いは受けないのですが,やはり,経験というものもあるような気がします。




私も駆け出しの頃は,調停委員や(調停に同席した)調査官から,今から考えるとずいぶんと軽く見られているような態度を取られていたような気がします。まあ,何がどうだったのかと言われると,困りますが,感覚の問題です(;^_^A





先ほど例に出した養育費(婚姻費用)の算定表の件ですが,養育費(婚姻費用)は調停(話し合い)で決まらない場合には裁判官が審判をすることになっています()判決のようなものです。

「裁判所には算定表があって決まっているから」と言いながら,それじゃあ(裁判官の)審判で決めてくれというととても嫌がります。裁判所から「(裁判官の仕事が増えるから)なるべく審判に回すんじゃない」とお達しでも出ているのか。。

「まあまあ,そういわずに,ここ最近の収入や支出の資料をもう一度出し直してもらって再考してみてください」などといって,やたら調停で話をまとめたがります。

ここら辺の進め方の緩慢さも当事者によっては耐えられないようです。



もっとも,私は調停制度自体については日本的な良い制度だと思いますし,当事者双方と調停委員の相性が合えば紛争解決のためにきちんと機能する制度だと思っています。






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