今月号の「自由と正義」に,控訴棄却の控訴審判決を誤解して相談者に誤った教示をしたため,相談者が上告の機会を失ったとして,懲戒された弁護士の公告がされていました。
公告された内容のみでは何をどう取り違えたのか分りませんし,これから異議申立がされて懲戒処分がひっくり返るかもしれませんので,何とも言えませんが,判決書や決定書の結論を取り違えるというのは何となくわかるような気がします(というか,私も実際取り違えたことがあります)
というのは,裁判所の判決書や決定書の中で,結論部分が記載されているのは「主文」と題されたところでなのですが,そのすぐ後に「請求の趣旨」「当事者が求めた裁判」という題名で,当事者がそれぞれれ求めた内容が記載されています。
例えば,原告が被告に対して100万円の支払いを求めた訴訟で,「主文は請求棄却」なのに,そのすぐ後の「請求の趣旨」には「1 原告は被告に対し金100万円を支払え」と書いてあるわけです。
「主文」のところではなく,その下の「請求の趣旨」のところに目が行ってしまうと,そこを主文と勘違いしてしまうということがあります。
判決書などでは,同じポイントの同じ字体で淡々と記載されているので,一見すると見分けがつきにくいこともあるのです。
たいていの場合,判決文を読み進めていけばおかしいということに気づくことになります。
勿論,今回の懲戒の件が具体的にどういう経緯であったのか,結論がこのまま維持されるのかといったことについては重ね重ね分りません。