相手方との事前の交渉や連絡なしにいきなり裁判所の手続にしてしまうという人がいます。
裁判所の手続というのは,相手方との直接的なやり取りをしなくて良い分,楽なところがあります。相手方から何か言われたとしても「裁判所で話し合いましょう」ということでかわすことができます。損保会社が,被害者(又はそれを自称する人)からの頻繁な催促に対して,弁護士に委任し,さらに弁護士が債務不存在確認の訴訟を提起するなどいうのは,このような相手方からの催促を封じるという側面があります。もちろん,損保側が善であるというつもりはありませんが。
何の前触れなく,いきなり,裁判所の手続にしてしまうという場合には,それなりの理由があるのかということは考えてみるべきだと思っています。
なお,一亜種として,当事者同士の直接の交渉や連絡をすっ飛ばして,いきなり,弁護士を代理人として交渉を委任しようとする人もいます。この場合,いきなり弁護士が代理人として交渉を求められた相手方からは「なんでいきなり弁護士なのか」というクレームがくることになります。
当事者の直接交渉なしの根拠として,例えば,相手方に資産隠匿などされないように弁護士に委任して民事保全の手続をとるというのは,十分な理由があるでしょう。
また,よくあるのは,「これまでの交渉経緯から裁判所などの第三者が間に入ってくれないと理性的な話し合いが出来ない」というものです。さきほどの損保会社による訴訟提起などはこのタイプのもであることも多いものです。もっとも,損保会社からの訴訟提起の場合には,事前に損保担当者や弁護士が交渉や連絡はしていますので,ほとんどの場合,いきなり訴訟というわけではありませんが。
事前に交渉や連絡せずにいきなり裁判所の手続(調停も含みます)にしてしまうことは,感情の部分で相手方との軋轢を生みますので,出来る限り避けたほうが良いでしょう。 紛争の実態とはあまり関係のないつまらないところで,「進め方が気に食わない」などいって解決できなくなってしまうこともあります。
そういうわけで,私は「まず当事者で話し合いをしてみてください」とか「裁判所を利用する前に手紙を送ってみましょう」とアドバイスすることも多いのですが,裁判所の利用前提で相談している人からすると弱腰とみえるのか,かえって,私が激高されてしまうこともあります。
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