弁護士報酬については,以前は弁護士会で決められた報酬基準がありましたが,「自由競争」の観点から,公正取引委員会などから問題視されたということで,現在では,基準については撤廃されています。
もっとも,この基準があった時代であっても,基準通りに報酬を定めていた弁護士が大勢であったかというと,それは疑問です。
弁護士報酬の基本的な考え方は,請求する金額を基準にして報酬を算出するというものですが,請求金額が大きくなればなるほど,弁護士報酬も大きくなってゆくことになります。なお,報酬の算出の仕方については,他にも,手数料とかタイムチャージとかいろいろあることはあります。ただ,私のような,一般民事の係争事案を扱う弁護士の場合は,請求金額を基準とした報酬算出というのが,割合的に多いということです。
なお,弁護士報酬といっても,事件の最初に頂く着手金と事件が終わった後の成功報酬二つに分かれますが,特に,着手金について言えば,請求金額に応じて着手金を算出するということが合理的かどうかということは,かねてから疑問を呈する人もいました。
請求金額が1億円であろうが,100万円であろうが,やるべきことは同じであるということもあり,契約書のある1億円請求事件の方が,書証のない100万円の請求事件よりも簡単であるということも,まったく珍しいことではありません。
私の場合,報酬基準はあるにはありますが,やはり,基準通りに頂くということは少なく,その件の手間暇を考えて,報酬を提示しています。
特に,どれくらい急いで着手し,また,時間を取られるのかということは大きな要素になると思います。
2~3か月時間をかけてゆっくりやってよいという事案と3日以内に書類を整えてすぐにやってほしいという事案とでは,当然後者の方が報酬を多く頂いても良いと思うし,依頼者としても納得されるのではないでしょうか。
■ランキングに参加中です。