個人再生手続により,再生計画案が認可され確定すると,後は,再生計画に従って,債務者本人に決められた額を各債権者に対して支払っていってもらうことになります。




例えば300万円あった債務について,個人再生手続により弁済額が100万円まで圧縮され,3年弁済とすると,毎月の支払金額は2万7000円程度になります。




この毎月の支払金額は,各債権者の債権額に応じて按分され,例えば,A社に対しては5500円,P社に対しては3300円,O社に対しては6000円・・・といった形で割り付けられ,各債権者の指定した支払口座に,債務者自身に振り込んでもらうことになります。




代理人弁護士の仕事としては,各債権者の指定した口座を調べて,債務者本人に送付し,「頑張ってください」というところで終わりになります。




ところで,弁済期間中に,債務者が支払いを滞る場合があります。




その場合,債権者から,代理人である(厳密には代理人であった)弁護士のところに催促の連絡が来ます。




連絡を受けた弁護士としては,債務者本人に対して支払催促の連絡が来ていることを伝えて,きちんと支払ってくれるように連絡します。




個人再生手続の債務者は,元来,真面目な人が多いので,そもそも支払遅滞するということはあまりなく,また,仮に支払いを遅滞したとしても何らかの事情があった場合がほとんどで,その後,きちんと元通りの支払いに戻ることが多いです。






ところが,ごくごく稀に,支払遅滞が継続してしまう債務者も出てきます。






その場合も,弁護士としては,債権者から連絡が来ているということを債務者に伝えるか,もう支払えないというのであれば破産手続きに切り替えるなどするしかないわけですが,さらにごく稀に,債権者から再生手続の認可取消しの申立がされてしまう場合があります。再生計画が取り消されとてまうと,元の木阿弥になってしまう(カットしてもらった債務も復活してしまう)ので,特に住宅ローンを抱えてていたりすると,困ったことになります。





私が経験した中では,再生計画の取消申立てがされ,なぜか,代理人であった私のところに,裁判所から「○○までに,反論の書面を提出するなどの対応をするように」という連絡がありました。




本来,再生計画の取消についての代理権はないはずなのですが,まるで当然のことのように対応を求められました。





再生計画の弁済期間は長丁場なので,ある日突然,昔の依頼人の再生計画の件で裁判所から連絡があると,正直,面喰らいます。





幸い,その債務者は連絡がつく人であったので,事務所に来てもらって事情を聴き,遅滞していた分について支払うよう指導し,再生計画の取消の申立ては取り下げられました。




「代理権の範囲外です」ということで,対応を断るという選択肢もないわけではないとは思いますが。











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