勝訴判決などに基づいて相手方(債務者)が任意に支払わない場合には,強制執行することになります。




相手方(債務者)が銀行に有している預金債権など,債権の差押えをするという場合,銀行のように相手方(債務者)が債権を有している先の立場の者のことを第三債務者と呼びます。





債権差押さえの場合,裁判所からの差押命令は,まず第三債務者に対して送達され,そのあとで相手方(債務者)に送達されます。相手方(債務者)の方が先に差押命令を受け取ってしまうと,相手方(債務者)が預金を引き出すなどして,差押えが

失敗してしまうリスクが高まるためです。


裁判所は,期日指定で郵便局に特別送達の手続をとりますが,ちなみに,この点で,郵便局が先に債務者に送達してしまって損害が生じたとして争われたのが,郵便法違憲判決の事案です。


なお,売掛金などは25日や月末などに入金されることが多いため,差し押さえる側の債権者は,裁判所に対し,第三債務者に差押命令を送達してもらう期日を指定してほしいという上申をすることができるのが普通です。この辺りの手間は,裁判所もサービスしてくれます。





差押命令が第三債務者に届けられると,第三債務者から陳述書という回答書が届けられます。そこには,債権の存否や内容などについて記載されています。





第三債務者が相手方(債務者)に支払わなればならない債権がある場合,つまり,差押えが成功した場合,第三債務者に差押命令が届けられた日から1週間経過すると,直接支払ってもらうことができます。





ただ,第三債務者から自分(債権者,差押えを申し立てた人)に直接支払ってもらうようにするやり取りには,裁判所は関与してくれませんので,第三債務者の担当者と支払先の口座を連絡するなどして,打ち合わせする必要があります。

振込手数料は引いてよいのかとか,印鑑証明書を添付して改めて請求書を出してくれとか,細かなことをいろいろと言われることも多いのですが,これらのことを裁判所に聞いても,「当事者で直接やってくれ」と言われるだけで,このあたりのサービス精神はよろしくありません。





以前,相手方(債務者)が勤務していた勤務先の会社に対して,給与差押えをしたところ,その会社は差押命令が届いたのにも関わらず,それ以降に到来した支払日の給料を相手方(債務者)に支払ってしまったということがありました。




その会社の担当者からは「今後はきちんと支払うので勘弁してほしい」と頼まれましたが,こちらとしてはそういうわけにもゆかず,きちんと支払ってもらいました。




差押命令が届いたのに支払ってしまうと二重払いの危険が出ることになりますので,十分に注意しましょう。




差し押さえた債権をきちんと回収した場合は,裁判所に取立届という書面を提出して,全額回収した時は債権差押命令の取下届も一緒に提出して,事件完了になります。

この場合,取下届には「取立てた分については除く」という一項を忘れないように記載しておきます。




養育費などの債権に基づいて,相手方(債務者)の給料を差押えた場合など,一括して回収できるわけではなく,何年にも亘って回収が続くこともあります。子の場合は半年に1回くらい,その期間に取り立てた分の取立届を裁判所に提出し,最後に取下書を提出して終了になります。





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