船中八策という言葉が世に踊っています。



主張の是非やキャラクターに対する好悪はおくとして,橋下大阪市長の思想の根底に流れているのは,何ごともスピーディーに決められない政治や制度に対する不満があるのではないかと思います。



今のところ,その不満は,意思決定の迅速さを阻害する屋上屋を架すかのような参議院制度や都道府県と市町村というような行政機構に対する批判として表れているようです。




しかし,維新の会かどうかはともかく,ある勢力が選挙で圧勝し,政治部門(立法・行政)を抑えた後,目障りになってくるのは,司法部門ではないかと思います。




それまでの制度を変えて,何か新しいことをやろうとすれば訴訟が起こり,勝訴の見込みが高いかどうかにかかわらず,司法の最終判断がでるまでの期間は制度の構築や意思決定が停滞してしまうことが考えられますし,障害物なくスムースに政策実行したい勢力からすれば,実に目障りな存在でしょう。



いま問題になっている年金制度についても,仮に掛け捨て制のようなことになれば,財産権の侵害として訴訟が起こってくるのは目に見えています。




行政組織は上意下達で動く命令系統がありますが,司法部門(裁判所)は各裁判官が独立しており,政治部門で天下を取った勢力が命令して動かすということができません。



政治問題や行政裁量の問題については司法は口を挟まないという司法消極主義が幅を利かせてきましたが,それについても別に保障されているわけではありません。




最近話題の一票の格差の問題についても,私が司法試験の勉強をしていたころは(どうせ,最高裁は選挙無効なんかしないだろ)みたいにタカをくくっている雰囲気が濃厚でしたが,必ずしもそうとも言えない雲行きです。




何か政治的な意思決定をしようとすると起こってくる訴訟リスク,司法部門という障害について為政者がこれを取り除こうとしたらどうしたらよいのでしょうか。







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