法律相談を受けていると、内容証明を出すか、訴訟を提起するか、或いは何らかの申立てをしたり、アクションを取るかどうかということで、逡巡し、悩むという場面が多くあります。
その理由としてはさまざまで、望むだけの結果が得られるのかという疑問、弁護士費用を払っただけの結果が得られるのかというコストパフォーマンスの問題、又は、弁護士に依頼せずに自分で手続きした場合に果たしてうまくやれるのかという不安、はたまた、何らかのアクションを取ったとしてかえって相手方との軋轢を生じて泥沼になってしまわないかという悩み・・・・・など様々です。
このような場合、消去法で検討していくことが有用だと思っています。
その際、まず真っ先に検討すべきは「何もしない」という選択肢です。
「何もしない」という選択肢も重要な価値のある選択肢であって、これを選択するかどうかでその後の展開が違ってきます。
一つの考え方として、「こんなくだらない問題で悩むのはもう嫌だ。こんなことで費用と時間と労力をかけてばかばかしいから、この問題についてはもう考えないようにしたい。よって、何もしない」ということも十分あり得る考え方です。
もちろん、訴えられたりしたケースで、そのまま放置しておくということはできないという問題もありますが、その場合は「何もしない」という選択肢は取れないという選択になるわけです。
貸した金を返してほしいなどの問題で、相手方から回収できる見込みもないというような場合に、自分の感情の中でけりをつけて、「何もしない」という選択肢がとれるかどうか、これを冷静になって考えてみるべきです。
その際、多くの人は、弁護士に対して「望むだけの結果が確実に得られるか」ということについて保証を求めたがるのですが(法的な意味での保証ということではなくて、心理的な意味での「大丈夫です」という支えのようなものですね)、弁護士は結果の保証はできません。
どんな問題であっても、相手方のあることですので、保証はしようがないし、弁護士が結果の保証をすることで顧客を誘引することは、弁護士倫理上、してはいけないことになっているのです。
そのようなことを十分に考えたうえで、「何もしない」ということがあり得ないのであれば、次にどんな手段をとるかという問題を検討することになり、思考の方法として踏ん切りもつくはずです。
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