ナース服など制服への着替えは労働時間にあたるなどとして、札幌市清田区の「美しが丘病院」に勤務する看護師ら男女16人が15日、病院を経営する医療法人に未払い賃金計約4600万円を求める訴えを札幌地裁に起こした。

(8月16日毎日新聞から一部引用)

 

制服などの着脱のための時間が労働時間に含まれるかについては、記事にあるとおり平成12年3月9日に最高裁判決が出されています(三菱重工長崎造船所事件)。

 

 

この論点のリーディングケースとされており、最高裁は、労基法上の「労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。そして、労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法の労働時間に該当すると解される。」とする基準を定立した上で、実作業に当たり、使用者から、作業服及び保護具等の装着を義務付けられ、また、その装着を事業所内の所定の更衣所等において行うものとされていたという事情の下では、装着及び更衣所等から準備体操場までの移動は、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるとして労働時間に含まれるものと判断しています。

 

 

他方、始業時刻前に所定の入退場門から事業所内に入って更衣所等までの移動や休憩時間中における作業服及び保護具等の一部の着脱等については、特段の事情のない限り、労働基準法上の労働時間に該当するとはいえないとしています。

 

 

本件においても、制服の着用が義務付けられており、そのための時間が使用者からの指揮命令下に置かれていたと評価できるかどうかということがポイントになるといえます。