https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190122/k10011786891000.html?utm_int=news-social_contents_list-items_050

 

 

 

1審は拷問などが違法行為だと認め、2審も違法行為の可能性が高いと認めましたが、いずれも当時は国に賠償させる法律がなかったとして、訴えを退けました。

これに対して遺族側が上告していましたが、弁護団によりますと、裁判所から通知が届いたことを忘れていたため、期限までに必要な書類を提出できず、上告を退けられたということです。
 

(1月22日NHKニュースウェブから一部引用)

 

 

最高裁(簡裁が一審の場合には高裁)に対して上告,上告受理申立てをすると,しばらくして裁判所から上告提起通知書,上告受理申立て通知書という書類が送付されてきます。

この通知書の送付を受けた時から50日以内に,上告等の理由を記載した理由書を提出しなければならないのですが,この期間内に提出が遅れると,問答無用で,却下(実体判断されずに門前払い)されてしまうことになっています。

 

 

上告(憲法違反,判例違反)についての規定は,次の通りです。民訴法316条2号で理由書の期間徒過は却下すると明記されています。

 

(上告の理由の記載)
民事訴訟法第315条1項 上告状に上告の理由の記載がないときは、上告人は、最高裁判所規則で定める期間内に、上告理由書を原裁判所に提出しなければならない。
(原裁判所による上告の却下)
第316条 次の各号に該当することが明らかであるときは、原裁判所は、決定で、上告を却下しなければならない。
二 前条第一項の規定に違反して上告理由書を提出せず、又は上告の理由の記載が同条第二項の規定に違反しているとき。
 

 

期間の起算点等については規則で定められています。

 

(上告理由書の提出期間・法第三百十五条)
民事訴訟法規則第194条 上告理由書提出期間は、上告人が第百八十九上告提起通知書送達等)第一規定による上告提起通知書送達を受けた日から五十日とする

 

上告受理の申立てについても同様の定めとなっています。

 

民訴法第318条5項 第三百十三条から第三百十五条まで及び第三百十六条第一項の規定は、上告受理の申立てについて準用する。

 

 

(上告受理の申立て・法第三百十八条)
民事訴訟法規則第199条2項 第百八十六控訴規定の準用)、第百八十七上告提起の場合における費用予納)、第百八十九上告提起通知書送達等)及び第百九十二から前条まで(判例の摘示、上告理由の記載の仕方、上告理由書提出期間上告理由を記載した書面の通数、補正命令上告裁判所への事件送付及び上告理由書送達の規定は、上告受理の申立てについて準用する。この場合において、第百八十七、第百八十九及び第百九十四中「上告提起通知書」とあるのは「上告受理申立て通知書」と、第百八十九第二、第百九十五及び前条中「被上告人」とあるのは「相手方」と、第百九十六第一中「第百九十第三百十二第一及び第二上告理由の記載の方式又は第百九十一第三百十二第三上告理由の記載の方式)」とあるのは「第百九十九上告受理の申立て)第一」と読み替えるものとする

 

 

上告と異なり,控訴の場合は,規則において控訴提起後50日以内に控訴理由書を提出しなければならないと他座められているのですが,上告,上告受理の申立てと異なり,上位規範である法律において期間を過ぎた場合には却下するという定めがないので,期限を過ぎたとしても却下されることはなく,手続きが進められることとされています。

もっとも,期限に遅れることは気持ちが悪いし心証もよくないと言われているので,たいていの場合,期限までに提出するようにはしていますが。

 

 

(第一審判決の取消し事由等を記載した書面)
民事訴訟規則第182条 控訴状第一審判決取消し又は変更を求める事由の具体的な記載がないときは、控訴人は、控訴提起後五十日以内に、これらを記載した書面を控訴裁判所提出しなければならない

 

 

書面の期限徒過というのは弁護過誤のうちでも多い類型ですが,懲戒請求や慰謝料請求といったことに発展することもあります。今回のケースも言い訳できない単純ミスであると言えます。