前にご紹介した「全国高等学校定時制通信制生徒生活体験発表大会」に娘が入賞したことが北海道新聞の地域面に掲載されました。
今から5年前の中学1年生の時に、長女が起き上がれなくなった時に始めて「起立性調節障害」という病気を知りました。それまでは、私自身そんな病気があることも知りませんでした。

当初は1~2年で回復するだろうと言われていたので、全日制高校進学を希望していました。もしも途中で治ったらという気持ちがあったのですが、実際は5年が過ぎても睡眠障害に悩まされています。

最初は通信制高校の生徒であることを自信をもって言えなかった娘ですが、この発表を通して認めてもらえたことにより少しずつ自信をつけていきました。そして自分の経験をたくさんの人に知ってもらいたい・伝えたいと堂々と発表していました。

今まで出来ていた当たり前のことが突然できなくなり、学校へ行けなくなる。みんなと同じようにできないことに疎外感をもつようになる。
それを体験する子どもの気持ち…

その姿を見ることしかできない親の気持ち…。
毎朝、起きてさえくれたら…と何度思ったことか。いっそのこと朝が来なければいいとも思いました。

でも、その代わり、朝から起き上がれたり、学校へ行けた時、1日3食とれた時、何より子供が笑っていること、そんな当たり前のことがとても嬉しく感じました。

しかし5年という年月をかけて、長女は私らしく生きていけばいいことに気付きました。そして私も母として焦らず見守っていく覚悟ができたのです。

この5年間の道のりが親子の表彰ということで形になったことは自信になりました。そして、親子で向き合ってきた年月を通して、娘とは本当に親子の絆が深くなりました。

今、中学2年の長男も同じ起立性調節障害です。これからの先が見えない進路に不安を抱えている最中です。でも、きっと大丈夫。時間はかかるかもしれないけど、必ず自分らしい道を見つけることができると信じています。

当初、長女が病気になったことで5人の母親としての自信を失くしましたが、私自身が変わらないといけないと思ったのです。

できることは正しい知識を見につけて理解すること。そして、ありのままの我が子を受容すること。そして寄り添って共感してあげること。

正直なところ、冷静になれない時も親としての未熟さを感じる時もあります。でも一人一人その状況の中で葛藤しながらも頑張っているからこそ、私も頑張らないといけないと思います。

以下は娘からの感想です↓

「起立性調節障害」。
耳にしたことのないこの病名を聞いたときは、本当に戸惑ったのを今でも良く覚えています。
私は、病気なんだ、と。

同時に、この体の不調は、病気のせいだったんだと、少し安心する気持ちもありました。
しかし、周りは簡単には理解してくれませんでした。

朝起き上がれないのは、
学校に行けないのは、
病気のせい。
だから、焦ったってしょうがない。

頭では分かっているつもりだったけれど、今考えてみると、自分自身でさえもその状況を受け入れることが出来ていなかったんだと思います。

「普通」。その言葉に強くとらわれていた私は、ただひたすら「みんなと同じように」ということを目指して頑張っていました。
でも、実際出来ないのです。それはしょうがないことなのだけど、当時の私は、出来ない自分を責めていました。

高校も、みんなと同じようにと、最初は全日制に出願しましたが、体調は悪化するばかりで、ぎりぎりになってから諦めました。
そうして半分あきらめの気持ちで入ったのがこの通信制高校でした。 

しかし、ここに来てから私の考え方は大きく変わったのです。
何より、自分の心と向き合って、過去の記憶を整理する時間ができたこと。そして、それを人前でさらけ出すことができたこと。

たった半年間のできごとだけど、その経験によって、私は確実に成長できたと思います。
発症から5年。未だに体調は不安定ですが、少しずつ、自分でコントロールできるようにもなってきました。

ここまで長かったけれど、着実に進んでいます。
自分のペースで、一歩ずつ。
努力はいつか、必ず報われる。
完全に良くなるその日を信じて、私の道を、私らしく歩いていきます。

病気への知識があるのとないのとでは対応が異なります。周囲の理解や共感があれば、子供達が過ごしやすくなります。

子育て全てにいえることだと思いますが、周囲の理解と共感、そして社会全体で見守ることができたら、子供達や親の安心や支えになると思います。

普通という型にとらわれず、無理をせず、一人一人自分のペースで、自分らしい選択を、子ども自身が自信をもって見つけてほしいと願います。
そして子ども一人一人の幸せを願っています。