まだ肌寒い夜明け、昨日まで隣で寝ていた彼女はもうこの部屋にはいない。
彼女の物がなくなったこの部屋はなんだか殺風景に感じる。
彼女なりの最後の優しさだろうか、机の上にはコーヒーの入ったマグカップが置かれていた。
それも丁寧にミルクと砂糖が隣に置かれている。
理佐「うっ…苦っ。」
ブラックが飲めないことを知っている彼女。
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由依「理佐ってほんとにブラック苦手だよね。」
理佐「だって苦いじゃん!」
由依「それが良かったりするんだよ?」
理佐「そのうち飲めるようになるもん!」
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理佐「やっぱ私には苦すぎるな…。」
それでも、彼女を引き留めることができなかった自分への罰か、私は彼女が淹れてくれた最後の苦すぎるコーヒーをそのまま飲み干した。
理佐「あ…」
この部屋から自分の物を全て持って出て行った彼女が唯一残した物。
彼女がコーヒーを飲んだであろうマグカップが一つ、シンクに残されていた。
これを洗って片付けてしまったら、もうこの部屋での彼女との思い出は何一つなくなってしまう。
いっそのこと忘れてしまった方が楽なのだろうか。
でもそんなこと私にはできない…。
理佐「なかったことになんか…できないよ。」
それでも前に進まないといけない。
私は決心をして最後のマグカップを洗った。
翌朝、隣に人がいない寂しさで目が覚めた。
理佐「はぁ…」
昨日と違い、本当に何も残っていない部屋。
でも習慣は残っているようで、いつものようにコーヒーを淹れる。
先に起きた方が淹れるというルールがいつのまにかできていた私たち。
理佐「あれ…?」
自分のマグカップだと思って出した物は自分のではなく彼女の物だった。
お揃いで買ったマグカップだが、彼女のには傷が付いているから見分けがつく。
昨日彼女がシンクに置いていったマグカップは洗って戸棚の奥にしまったはずだ。
ということは彼女は最後のコーヒーを私のマグカップで飲んだことになる。
それはどんな意味と思えばいいのだろうか。
引き留めようとしなかった私への怒り?
それとも気持ちに気づいてもらえなかった悲しみ?
もう、いくら考えたところで想像もつかない彼女の想い。
理佐「グスッ…」
何もないシンクにポタポタと音を立てているのはただの涙だけではないだろう。
由依と2人でもう一度やり直したい。
でも元通りになんてできるわけもなくて…。
元通りにしようとしたところで切なくなるだけ。
片付けてもいつまでもシンクは濡れたままだった。
楽曲
マグカップとシンク
(乃木坂46の賀喜遥香、遠藤さくら)
登場人物
小林由依(元櫻坂46)
渡邉理佐(元櫻坂46)
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どうも、ぽんです!
今回は私の好きな、乃木坂さんの「マグカップとシンク」という楽曲をイメージして、りさぽんを書いてみました。
MVというよりも、歌詞とか楽曲の世界観的なものを私なりに解釈したものなので、人によっては違和感とかあるかもしれないです。すいません。
私は3坂とも知ってるし好きなんですけど、人によっては、「乃木坂しかわからない」とか「曲は知っているけどメンバーまでは…」ってこともあると思うんです。
でも私はどのグループも、楽曲もメンバーもすごいんだぞ!!ってことを伝えたいといいますか、少しでも他のグループとか楽曲を知ってほしいって想いがありまして
こんなレベルの低い文ではありますが、私の書く小説をきっかけに他の坂道グループを知ってくれる方がいたら嬉しいなぁと思ってます!
そして、この後に出す小説が、今作の数年後のお話になっています!
楽曲の方は次作の方で紹介しますが、そちらの方も読んでいただけたら嬉しいです!!
では、あじゃじゃした!