下の工場に行くと物陰に理佐がぐったりとして倒れているのが見えた。



小林「理佐!理佐!しっかりして!」

理佐「由依…、来てくれた…んだ…。」

志田「あんたなんでこんな傷だらけなの⁉︎」



 確かに理佐の体は痣や火傷が沢山あった。



理佐「ごめ…んね。私…が、」

小林「もう喋らなくていいから!とりあえず上行くよ。」



 私と愛佳さんは理佐を抱き抱えで共有スペースに連れて行った。



志田「滲みるかもしれないけど我慢して。」



 愛佳さんが火傷を消毒する。



小林「これ誰にやられたの?」



 理佐の呼吸が整ってきた頃、私は尋ねた。



理佐「茜とホワイトウルフの幹部。」

小林「彼氏も?」

理佐「あんなの彼氏じゃないよ…。毎日殴られて色々な男の相手をさせられて、怖くなって今日病院行ったら……。」



 今ので大体察した。

 私の知らない間に理佐はこんなにも苦しんでいたんだ。



理佐「下ろしたいって言ったんだけど許してもらえなかった。だから逃げてきたの。由依にあんな思いさせて自分勝手なのはわかってる。私が本当に好きなのは由依なの。だから助けて欲しい。」

??「だったら素直に最初から言えばいいじゃん。」



 気がつくと、てちと土生先輩が部屋から出てきていた。



理佐「みんなごめん。」

土生「謝るなら私達じゃなくてまず由依に謝りな。」

理佐「ごめん。」

小林「私こそごめん。理佐はそんなことする筈ないのに理佐のことを信じなかった。」

理佐「いいの、私が悪いから。由依?」

小林「ん?」

理佐「私は由依のこと愛してる。だからもう一度私にチャンスをください。」



 チャンスか…。

 でもそんなのは私達には必要ない。



小林「顔を上げて?チャンスなんていらないよ。私も理佐のこと愛してるから。また一緒に暮らそうよ。」



 久しぶりに見る理佐の笑顔。

 傷だらけなのにもかかわらず、こんなに美しい顔なんか他にあるのか。



土生「しばらく2人にしてあげようか。」

志田「そうだね。琥珀、帰るよ!」

琥珀「ほーい。」



 聞きたいことは沢山あるだろうに、みんな気を利かせて2人きりにしてくれた。



小林「理佐、改めてお帰り。」

理佐「ただいま。あのさ、話聞いてくれる?もしかしたら生徒会選挙で有利になるかもしれない。」

小林「わかった。でも無理はしないで。話したくないことは言わなくていいから。」

理佐「ありがとう。」