「損をする」生き方。 | エフォートアカデミー塾長日記

エフォートアカデミー塾長日記

静岡県三島市の学習塾「エフォートアカデミー」のブログです。
塾での出来事やお知らせを、私塾長の鈴木がお知らせいたします。
エフォートアカデミーのホームページは、
http://www.effort-aca.com
です。よろしくお願いいたします!

「無頼漢」という言葉があります。「ならずもの」や「ごろつき」などというネガティブな意味もありますが、私は「誰にも頼らず、自分を貫く人」という意味でポジティブに捉えています。

 

中学生にとって「無頼漢」でいることは、現在の歪んだ受験制度においては実に難しいものです。学校の教師にちょっと「意見」すれば、たちまち「内申書」で報復されるのが現在の教育の実情なのです。学校においては「自我を抑える子」が「良い子」であり、「個性を主張する子」は「悪い子」なのです。そしてその評価は専ら「一教師」に委ねられ、客観性など微塵も存在しないのです。このような実情の下、「子供がのびのび育つ」環境など、整えられる訳がないのです。

 

そんな悲しい現実の中でも、決して挫けない「豪傑」が、かつて当塾にも存在していました(笑)。

現在は立派な「おじさん」になったであろう彼は、中学時代、そろそろ高校受験を意識する時期に差し掛かった場面でも、決して教師の指示に従うことを良しとしませんでした。

 

「木っ端公務員の言うことなんて聞けるか!」

 

とにわかには信じられないような暴言を吐き(笑)、与えられた学校課題の一切をあえて「やらない」選択を貫きました。何が彼をここまで頑なにさせたのかはわかりませんが、一方で彼の定期テストの成績は決して悪くはなかったのです。

言わずもがな高校進学には「内申書」の評価が重要であり、私も事あるごとに「無駄な抵抗」はやめるように諭したのですが、彼は一貫して「無駄な抵抗」を貫いたのでした(笑)。

 

結果、本来であれば学力上位校に進学できる学力があったものの、教師からの「お決まり」の「報復評価」の影響もあって、学力中位校への進学を余儀なくされたのです。それでも彼自身には一片の後悔もなかったようです。

高校進学後も彼の「教師嫌い」は全く治らず(笑)、早々に推薦での進学を放棄し、自身の学力だけに頼る一般入試に絞って準備を進めました。高校入学後も当塾に継続して在塾し、必死になって勉強に取り組んだのです。野球部に所属していた彼は、当塾の最終授業時刻にもギリギリ来塾出来るかどうかの忙しさで、

 

「今日は4つ信号無視してきました!」

 

と自慢げに話すものですから、

 

「少々遅刻しても大目に見るから、信号だけは守れ!」

 

と何度も諭したものでした(笑)。彼の名誉のためにあえて言及しておきますが、彼は実に努力家であり、私の指示もよく聞いてくれました。誰にでも牙をむくような人間では決してないのです。幼いながらも、自らの信念を貫こうとした、ある意味で「アホ」であり(笑)、ある意味で「立派な」男だったのです。

 

3年間の多忙な日々を過ごした後、決して「難関校」とは言えないけれど、誰もが一度は聞いたことがある大学に、見事「一般入試」で合格を決めました。大学進学後は4つのアルバイトを掛け持ち、学費は奨学金で賄って、経済的な部分で兄弟の進学に影響が出ないように頑張っていたのです。正月や夏休みに帰省する際は塾にも顔を出してくれ、兄弟たちにお小遣いまであげていたそうです。大学生でありながら、彼は既に立派な「大人」へと成長していたのでした。

 

彼のように、現在の「進学制度」に頼らず、自力で人生を切り拓こうとする子は少数ながら必ずいます。彼らに共通しているのは、「自我を貫く」ために少なくない犠牲を払っているということです。教師に媚を売り、少しでも内申点を上げてもらうことを「世渡り上手」と評価するのであれば、彼らの生き方はまさに「損をする生き方」だと言えるのかもしれません。実に不器用な彼の生き様を見て、受験生の皆さんはこれから始まる「大切な1年」をいかに過ごすべきか、よ~く考えて頂きたいと切に願います。

 

そして私は「損をする生き方」をあえて実践している「アホ」たちを、今までも、これからも、愛して止まないのです(笑)。

 

頑張りましょう!