本格リスクオフに転じるか正念場、海外勢は株売り・円買いに余力残す | 金融-FX

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[東京 11日 ロイター] 年初からのリスクオン相場が正念場を迎えている。3月米雇用統計の下振れやスペイン債務問題、中国の輸入鈍化を受けて景気への懸念が浮上。日米の追加緩和期待が市場心理を支えているが、10日の日銀会合が政策据え置きとなったことで、短期筋が円売り・日本株買いの巻き戻しを加速させている。

一方、米アルミ大手アルコア<AA.N>の決算が予想外に堅調さを見せるなど好材料もある。海外勢の円買い・株売り余力はまだ大きいとみられており、利益確定売りの範囲でとどまるか、本格的なリスクオフに転じるか、まだ予断を許さない。

<株売りの中心は短期筋>

「米株の値動きは驚きの軽さだった」と米系証券トレーダーは話す。10日の市場で、米ダウ<.DJI>が213ドル下げるなど米主要3株価指数は今年最大の下げとなった。スペイン中央銀行のオルドネス総裁が、同国経済が悪化した場合、同国の銀行はさらなる資本が必要となる可能性があるとの見解を示したことや、中国の輸入が市場予想ほど伸びなかったことなどが嫌気されたが、欧州債務問題や中国の景気減速懸念は新しい材料というわけでもない。日銀の追加緩和見送りも市場のコンセンサスに近かった。

海外勢がイースター明けから復帰し、短期筋を中心に利益確定売りが一気に強まったことが、値動きを加速させた要因とみられている。ニューヨーク証券取引所、アメリカン証券取引所、ナスダックの3市場の出来高は約81億8000万株と、前年の平均の78億4000万株を上回った。GLOBEX(シカゴの24時間金融先物取引システム)での米株先物も11日は堅調に推移している。

パニック売りが出たわけではなく、「短期売買が中心でロング投資家は静観」(前出の米系証券)との指摘も出ている。3月米雇用統計で非農業部門雇用者数が下振れたことをきっかけに、米景気に対する過度な楽観論は後退しているが、緩やかな米景気回復というシナリオが崩れたわけではないとの指摘も多い。下振れたといっても米雇用者の増加は続いている。生産や消費もピークアウト感が見られる経済指標もあるが、依然として高水準だ。「季節調整による経済統計の歪みや暖冬の影響でかさ上げされていた分がはげ落ちるかもしれないが、米経済は好循環に入りつつある」(JPモルガン・アセット・マネジメントのエコノミスト、榊原可人氏)との見方は依然多い。

米決算発表シーズンの皮切りであるアルコアが10日発表した第1・四半期決算は、予想外の黒字転換となった。アルミ大手の同社の業績は世界景気を反映するため、注目度が高いが、クラウス・クラインフェルト最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会議で、北米市場のアルミ需要は建築・建設部門を除き、大半の工業セクターで堅調としたほか、「世界のほとんどすべてのエンドマーケットで成長が見られる。航空宇宙市場はますます勢いをつけている」と述べた。

市場予想を上回った2月機械受注や、8カ月ぶりに50を上回った景気ウオッチャー調査の現状判断DIなど日本国内の経済指標も底堅い数字が続いている。日経平均<.N225>は節目の9500円を割り込んだが、「短期的な調整との見方に変わりはない」(マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏)との強気な声も出ている。

<コモディティ需要への懸念>

しかしながら、中国などの景気減速への懸念が強まってきたのも事実だ。アルコアは10日、中国の2012年のアルミ需要の伸びについて、1月予想の12%から11%に下方修正した。中国を除くアジアの2012年アルミ需要の伸びも9%から8%に引き下げた。

国際通貨基金(IMF)は10日、コモディティ輸出国は世界的に経済活動が弱まっていることや需要の減少を踏まえ、商品価格の下落に備えるべきだとの見解を示している。

3月の中国貿易統計で、輸出は前年同月比8.9%増加と市場予想を上回ったが、輸入は前年同月比5.3%増加と市場予想の9.0%増を大きく下回った。「中国の景気減速が強く意識されたことも欧米株安の要因となった」(外資系証券)という。

原油などの先物相場で構成されるロイター/ジェフリーズCRB(RJ/CRB)指数<.CRB>は10日、4.37ポイント低下の300.45となり、昨年12月20日以来の300台割れに接近した。インフレ懸念の後退は世界経済にとってプラスだが、景気減速による需要後退が背景であれば、リスクオン相場の前提が崩れる。

<「余力」残す海外勢>

年初からのリスクオン相場で円売り・日本株買いを進めてきたヘッジファンドなどの海外勢は利益確定売りを加速させているが、「本格的なリスクオフとなれば、この程度ではすまない」(国内証券)という警戒感も強い。

東証がまとめた12月第4週(12月26日—12月30日)の3市場投資主体別売買内容調査によると、海外投資家は昨年12月第4週から3月第2週まで約1兆4600億円買い越している。3月第3週に13週ぶりに2696億円の売り越しに転じたが、第4週は再び1846億円の買い越しに転じており、「売り余力」は依然大きい。為替市場でもIMM通貨先物の取組(4月3日までの週)で投機筋の円のネットショートポジションは約6万5000枚と高水準であり、「円買い余力」もあるとみられている。

シティバンク銀行のチーフFXストラテジスト、高島修氏は「需給面では、社内レート水準であるドル/円80円、ユーロ/円105円を確保するためか、静観を決め込んできた輸出企業が円買いヘッジを速める兆しがある。また、ヘッジファンドポジションを推計しているシティPAIN指数から察するに、ヘッジファンドなどはまだ相当規模の円ショートをキャリー中だ。過去3週間の円高を受け、円買い戻しを迫られることになるだろう」として、もう一段の円高を警戒すべき需給環境にあると述べている。

一方、日経平均は1月16日から3月27日まで22.4%上昇したが、11日は一時9300円台後半まで下落。高値からは8.4%の下落となり、25日移動平均線とのかい離も大きくなってきたことから、「テクニカル面ではそろそろ底値」(国内証券テクニカルアナリスト)との声も出てきた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投資情報部長、藤戸則弘氏は「景気への楽観論が後退した。金融緩和期待の効果も先取りしており、実際に緩和したときは材料出尽くしとなるおそれもある。利益確定で終わるのか、本格的なリスクオフに転じるのか正念場だ」と述べている。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 山川薫)
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