【地域における医師の確保等の推進について(提言)】

『現状の分析について』
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(1)専門分野における医師の偏在について

 医師の専門分野については、本人の自由意志により選択されており、需要と供給のバランスを考慮した専門分野の調整は行われておらず、この結果、現状では、小児科、産婦人科、麻酔科、救急部等において医師が不足してきている。このことについては、地域における個々の医療機関の役割が明確でなく、それぞれの病院での機能分担も明らかになっていない。また、医療圏ごとに必要とされる専門医数が明確でなく、医師の適正配置が行われておらず、各専門分野の学会が専門医の偏在に対して関与できていないことも一因と考えられる。また、地域の総合診療の専門家として幅広く総合的に診療を行う医師の育成が十分でないことも問題である。


(2)女性医師の就労状況について

①女性の社会進出の促進に伴い、女性医師は年々増加傾向にあり、「医師・歯科医師・薬剤師調査」(厚生労働省)によると、平成14年度においては医師全体の約15%を占める状況にある。また、女性医師の占める割合は若い年代ほど高く、今後その比率は更に高まるものと予想される。

②これからも女性医師は、重要な労働力として期待されるが、一方で結婚や出産による中断もあり、安定的労働力として捉えるのが難しい状況にある。

③このような状況を踏まえ、一部の国立大学病院では、出産後職務に復帰できる女性医師については、関連病院にパートタイムや隔日勤務で紹介を行ったり、関連病院の女性医師が産前・産後休暇や育児休業を取得する場合には、代理医師を紹介すること等も行っている。



『地域における医師不足の解消に向けての提案』
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(1)専門医の不足解消について

 医師がどの専門分野に進むのかは個人の自由意志により決定されているが、不足する分野の専門医の供給につながるような調整・誘導システムがないのが現状である。
 しかし、このまま推移すれば特定の専門分野の医師不足は更に拍車がかかることが予想されるため、次のような対策をとることが考えられる。

 1) 専門医の養成

(1) 短期に取り組む必要のある事項
ア)  各学会が専門医不足の解消を図るため適正な専門医数を提案する等、具体的な方策を検討する。(学会)
イ)  医師不足の顕著な専門分野について、診療加算や専門医の待遇改善を図る。 (国、地方公共団体)

(2) 中・長期的に取り組む必要のある事項
ア)  第三者機関による専門医認定制度を創設する。(国、学会)
イ)  へき地医療を理解させるために「へき地医療の専門履修コース」を設定するなど、専門研修体制を整備する。(大学医学部及び附属病院)
ウ)  地域で総合的に診療を行う医師の育成体制を確保する。(大学と医療機関 の連携)

 2) 同一医療圏内における専門医の適正配置

(1) 短期に取り組む必要のある事項
ア)  都道府県は、大学、地域医療機関等の協力を得ながら地域の人口と面積等を考慮した専門医の配置について検討する。(地方公共団体、大学医学部)
イ)  自治体病院の医師採用条件に、原則として、へき地診療所等での勤務経験を設定すること等を検討する。(地方公共団体)

(2) 中・長期的に取り組む必要のある事項
ア)  国及び学会が地域ごとの専門医数を把握し、配置すべき地域の標準専門医数を策定するとともに、都道府県は大学、地域医療機関等の協力を得ながら専門医の配置標準の達成に努めるルールを確立することを検討していく。(国、学会、地方公共団体)
イ)  各専門分野ごとに地域に中核センターを作り、地域内のネットワーク化を進める。(地方公共団体)
ウ)  地域の医療機関のニーズに応じた機能の重点化を行い、設備面、待遇面の充実を図る。(地方公共団体)
エ)  地方公共団体において、専門医が地域内の医療機関に対してコンサルテーションできる制度を構築する。(地方公共団体、大学医学部)

(2)女性医師の労働力確保

 近年、全体の医師数に占める女性医師の割合は年々高まっており、その労働力を確保することは重要であり、このため結婚、出産等で一時医療現場から離れた女性医師の復帰のための環境整備が求められており、女性医師が育児しながら勤務できる労働環境(託児所、保育所)や職場復帰を支援するシステムの整備のほか、ワークシェアリングにも取り組む必要がある。
 また、男性医師の女性医師受け入れに対する意識改革を図るとともに、女性医師についても一層の職業人としての意識改革が必要である。

◆国立大学医学部長会議
◆地域医療・医療人育成に関する小委員会
◆国立大学病院長会議常置委員会
◆地域医療問題小委員会
◆地域における医師の確保等に関する諸課題を検討するためのWG

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