【自民総裁選、石原氏が軸に 重鎮の支持集める】
《2012/9/11 0:47 日本経済新聞社》
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 自民党総裁選は10日、谷垣禎一総裁がベテラン議員らの支持を得られず、外堀を埋められる形で出馬を断念した。今後は石原伸晃幹事長を軸に展開する見通しとなった。10日に正式表明した石破茂前政調会長に続き、石原氏が11日、12日には安倍晋三元首相も立候補を表明する予定だ。
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 「どういうことなのか。納得できない」。側近議員が谷垣氏から出馬断念を聞いたのは、10日午前11時30分の緊急記者会見の直前だった。詰め寄る側近に谷垣氏は「誰かに相談することではない。もう決めた」と語るだけだった。

 同日朝も周囲は出馬を信じていた。「総裁、頼みますよ」。支持議員の会合で谷垣氏は出席者の言葉にうなずいた。選挙対策事務所を10日に開くことも決定済みだった。谷垣氏も9日、京都市内で「壁は私自身が体当たりしてぶち破らなければならない」と、強い意欲を示していた。

 不出馬に転じたのは石原氏の立候補が大きかった。谷垣氏の出身派閥、古賀派の古賀誠会長をはじめ、森喜朗元首相や青木幹雄元参院議員会長(非議員)らベテランは谷垣氏の不支持とともに、石原氏を支持する方針を早々に固めていた。

 こうした包囲網に谷垣氏は「脱派閥」を打ち出して対抗しようとしたが、支持を集める戦術がなかった。出馬に必要な20人の推薦人集めを周囲に指示したのは7日。周辺は「20人確保できた」と語っていたが、他陣営からは「できないはずだ」との声が上がっていた。

 石原氏側は「谷垣氏では総裁選に勝てない」と主張。7、8両日に石原氏が大島理森副総裁を交えて谷垣氏と一本化を協議したが決裂。一方で石原氏は執行部内でも支持を集め、谷垣氏が唱えた「現執行部の路線継承」は石原氏が事実上、引き継いだ。谷垣氏は会見の直前、石原、大島両氏に不出馬を伝えた。谷垣氏周辺では「大島氏に引導を渡された」という恨み節も聞こえる。

 「執行部から2人出るのはよくないと判断した」。谷垣氏は10日夜、川崎二郎元厚生労働相ら側近と会食し、釈明した。ある参加議員は「ぼうぜん自失だ」と語るのが精いっぱいだった。

 石原氏は10日、都内で茂木敏充政調会長や塩谷立総務会長ら支持議員4人と会談。11日の出馬表明会見で発表する公約を協議した。本命候補に躍り出ており、周辺が心配するのは「ベテランの力を背景に谷垣氏を出馬断念に追い込んだ」という批判ぐらいだ。

 安倍氏は10日、支持議員との会合で「国難に立ち向かうため戦いの先頭に立つ決意をした」と述べ、12日に正式表明すると確認した。会合に先立ち、所属する町村派前会長の森氏に、出馬の意向も伝えた。

 石破氏は10日の出馬会見で、緊急事態条項を盛り込むなどの憲法改正や集団的自衛権の行使を可能にする「国家安全保障基本法」の制定などを柱とする公約を発表。町村氏は同日午前、議員会館のあいさつ回りを始め、支持を求めた。出馬に意欲を示す林芳正政調会長代理は推薦人確保へ支持集めを続けた。

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