『動物の場合』
 犬などの動物にも、つわり、腹部の膨張、乳腺の発達や乳汁分泌、巣作り行動といったの想像妊娠が見られることがある。しかし、これは発情期に伴うホルモン変化によって引き起こされる現象であり、人間のように心理的原因によるものとは異なる。そのため、想像妊娠とは呼ばず、偽妊娠あるいは擬似妊娠の用語で呼ばれることも多い。

『原因』
 発情期に入って排卵すると、妊娠を維持するための黄体ホルモンが分泌され、身体や行動に変化が起こる。妊娠が不成立だった場合は排卵からしばらくすると黄体ホルモンの分泌が終わるはずだが、個体差により、ホルモンの分泌が活発すぎると妊娠していなくても分泌が続くことがある。こうした黄体ホルモンを主体としたホルモンの影響で、擬似妊娠状態の症状が現れる。これは、発情期中に交尾をしなかったメスにでも起こり得る。

『対処』
 排卵後の擬似妊娠状態はどの個体でも多少なりとも起こる生理現象ではあるが、期間が短いと飼い主には気付かない程度であり、長期にわたって妊娠状態が現れたままなのは、ホルモンの分泌が過剰な病的様態といえる。発情期のたびに想像妊娠を繰り返しやすい個体は、子宮・卵巣・乳腺などにホルモンの影響を原因とする疾患を発症するリスクが高まると考えられる。また、想像妊娠を何度も繰り返すのは、身体的負担や精神的ストレスもかかる虞があり、頻繁であれば対処を考えた方がよいケースもある。

 一番の根本的な対策は不妊手術であり、卵巣を摘出すれば想像妊娠が起こることも無くなる。
そうでない場合も、オスとの接触を避け交尾させない、飼い主が尻や陰部に触れて刺激しないよう気を付ける等、なるべくホルモン分泌を活発化させやすい要因を与えないよう注意する。