スティーヴン・キングの原作をフランク・ダラボン監督が映画化した作品と言えば、『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』が有名ですね。
正確には今回の『ミスト』は4回目にあたるワケですが、キングとダラボンが組んだ作品となれば自然と期待が高まっていた人も多いのではないでしょうか。
田舎町の湖畔に住むドレイトン一家。その田舎町に大きな嵐が訪れ、ドレイトンの家も少なからず被害を受ける。翌日になって嵐は過ぎ去るものの、怪しい霧が湖上を飲み込むように立ち込めていたのだった。
父・デヴィッドは息子・ビリーと共に町のスーパーマーケットまで買出しに行くのだが、今度は町中を襲うかのような霧に遭遇し、スーパーから出られなくなってしまう。
この作品が映画化すると知った時、私は原作を読んだ事がないのでカーペンターの『ザ・フォッグ』を思い浮かべてしまいました。
『ザ・フォッグ』の方は悪霊が霧と共に町を襲う話だったのですが、まぁ似たような展開を想像してました。
霧の中に何かがいるワケですが、比較的早くその正体は明らかにされます。キングの原作なので有り得ない正体ではないんですが、ダラボン監督がコレを持ってきた事に少々驚きました。
とは言え、この作品のメインとなる恐怖の対象は霧の正体そのものではなく、極限状態のままスーパーに缶詰にされた人間達の正体にあります。
こういった話はホラー映画によくあるもので、ロメロ監督のゾンビ映画でも既に出されています。1つの部屋に2人の人間がいるだけでも喧嘩は起こります。
しかも死ぬかもしれないといった状態の中、頭のイカれた誰かのアジテーションまで起こると、もうまともな精神状態ではいられなくなるワケですよね。
なので、「人間が1番怖い」などと言う展開は珍しいワケではないんですが、今回の『ミスト』はその中でも非常に良く出来た映画だと思いました。
『ショーシャンク~』や『グリーンマイル』を思い浮かべても、キング&ダラボンはムカつく人間をとてもウマく描いてますよね(笑)
『ミスト』の中では、明らかに間違った宗教観念を持ったカーモディと言う女性が出てくるのですが、元々おかしいのに更におかしくなり、のべつ幕なく喋りまくる状況下で観客である私ですら頭がおかしくなりそうでした。
いくつかのグループに分かれてしまうのですが、主人公であるデヴィッドのグループは当然1番冷静で現実的な考えを持っています。
それぞれの人物設定も非常に丁寧でした。なので、感情移入できる登場人物が何人か見付かると思います。
スーパーの副店長であるオリーも結構イイ役で、終盤には拍手喝采シーンもありました。
ダン役のジェフリー・デマンは『ショーシャンク~』にも『グリーンマイル』にも出ていたので、「どこかで見た事ある人だな~・・」とず~っと悩んでいたのですが、見終わってから気付きました(;^ω^)
デヴィッドを演じているのはトーマス・ジェーン。
『ディープ・ブルー』を思い出して考えてみると、結構太りましたね。『ショーシャンク~』のオーディションでは残念ならが落とされてしまったようですが、今回この傑作に出演できて本当に良かったですね。
ラストの顛末は、ダラボン本人がキングの原作に書き加えたものらしく、キング本人も絶賛しているようです。
こういったパニックものは登場人物数人が助かるか、曖昧なまま観客に委ねられるラストが多いのですが、見事な裏切り方でした。
後味は非常に悪くスッキリとはしないのですが、間違いなく脳裏には焼き付くのではないでしょうか。
私が1番スッキリしなかったところは、デヴィッドが「すみません、ちょっと息子見といて下さい。」と結構人に頼むんですが、それでちょっと息子が危ないメに遭うんですよ。
恐らくデヴィッド本人も無意識なのかもしれませんが、預かってくれたご夫人を凄い目で見るんです。「ちゃんと見とけや!」みたいな。
しばらくしてご夫人は自殺するワケですが、周りは何となく「恐怖に耐えれなくなった」みたいな受け取り方だったのですが、私は絶対責任感じて追い詰められての結果だと思いました。デヴィッド、あんたのせいよ~!!
ラストは非常に無情。
しかし父は、息子との約束は守ったワケです。
派手ではないが傑作だと思いました。
余談ですが、デヴィッドは映画のポスターを書く仕事という設定になっています。冒頭、デヴィッドの仕事部屋の風景が出てくるのですが、カーペンターの『遊星からの物体X』のポスターも写ってます。
作中『遊星からの物体X』と言うセリフも出てくるし、物語の展開も「誰も信じられない」と言うところが繋がっている事から、多少なりともインスパイアされているのかな??・・と感じました。
08/05/20
