2008年の春、30周年特別版HDデジタル・マスターDVDが発売されたカルト映画。
小さな子供が大人を襲う映画と言えばキングの『チルドレン・オブ・ザ・コーン』などが頭を過ぎりますが、この『ザ・チャイルド』はそれよりも古い1976年のスペイン映画。


舞台はスペインの港町。ある日、ビーチに若い女性の死体が流れ着く。溺死かと思われた死体だったが、よく見るとあちらこちらに刃物で刻まれた跡があった。そんな陰惨な事件が起こっているとは知らないトム・イブリン夫妻は、このベナビスと言う町にバカンスにやって来る。ちょうど町は夏祭りの真っ最中で、観光客が溢れていた。3人目の子供を妊娠中と言う事もあり、夫妻は騒がしいベナビスから逃げるようにアルマンソーラ島へ向かう。


町から船で4時間のアルマンソーラ島は、観光客も来ない静かな島。この島に1軒しかないと言う宿を探す夫妻だったが、船から降りて歩くも子供の姿しか見えない。違和感を拭えない2人だったが、この島で起こっている恐ろしい事実に少しずつ気付いていくのだった。



MebiusRingΨ主食はホラーΨ-WHO CAN KILL A CHILD?


冒頭の約8分は、モノクロの実録映像が流れます。
各国で戦争や飢餓に苦しみ、夢や希望、一縷の楽しみさえも味わえないまま死んでいった子供が映し出されます。
正に「絶望」の約8分。そしてその映像のアクセントとして流れるのは、子供のハミングと笑い声。凄まじいギャップに嫌悪感を覚えます。
このハミングを聞いたら、多分しばらく頭から消えないと思いますよ。

物語は至ってシンプルで、島にいる子供達は次々と大人たちを殺しちゃうワケですよ。しかも凄く楽しそうに、遊び感覚で殺していきます(原作タイトルは「子供の遊び」ですから)。
いくら何でも子供相手なんだから本気出したら大人が勝ちそうなもんなんですが、この映画の米題は『Who Can Kill a Child?』です。
「誰が子供を殺せるか?」って事で、「子供を殺す事などできやしない」と言う事になります。心理を突いてますね。
冒頭のモノクロ映像と言い、「ついに子供が逆襲に出た」と言った感じなんでしょうか。

映画の話に戻りますが、島にやって来てからトムとイブリンは不穏な空気を早い段階で察知するのですが、情報収集のためトムが1人で島を模索し始めます。
ベナビスの喧騒から逃れるように島にやって来る・・と言う流れではありますが、ベナビスの祭りで花火が打ち上げられていましたが、花火と言うよりはもはや爆弾並みの爆音ですよ。そりゃ逃げ出したくもなるわ・・(;^ω^)

トムに至っては、子供が笑いながら老人を殴り殺し、挙句の果てに集団でスイカ割りのように大人を扱っている現場を目撃するワケですが・・・

え~~と・・・普通なら・・と言うか、私ならこれ以上情報収集などせず身重の嫁はんを抱えて、真っ先に船に乗り脱出しようとします。

ところがトムは嫁が「ココ何かおかしいで!」と警笛を鳴らしてるにも関わらず、「まぁとにかく落ち着いて落ち着いて」みたいな感じで、のんびりしすぎなんですよ!!こんな恐ろしい状況に陥っていると言うのに危機感ゼロ!!

集団で襲われたあと嫁をベッドで寝かせて水を飲ませるシーンがあるのですが、ドア開けっぱなし!!つい今しがた撃たれそうになったとこでしょ~があせる

そんなこんなで、トムには全く感情移入はでき兼ねます。
と言うのも、イブリンは妊娠6ヵ月と言う設定なのにトムが全く妊娠を喜んでいるふうではないんですよね。イブリンも「堕ろせってか!?プンプン」と若干キレてましたし、全くトムは頼りにならん男ですよ。

ただ、ラストあたりになってトムが「ええがげんにせんかいむかっ」とようやく反撃に出るのですが、ここでは逆に嫁が足を引っ張ります。

ホラー映画によくある「走れ!」と言われて「ダメ・・もう走れない~~」と言うヤツは心底腹が立ちますよね。あれを嫁がやってくれます(笑)

島の中でも隣町の子供達は普通だったのですが、ザ・チャイルドな子供が恐ろしい眼差しで伝達のようなものをした直後から、やはり悪魔的なものが伝染していました。なので、何らかの魔的なものが背景にあるようなのですが、映画ではそこは曖昧なまま子供達は島を出て終わります。

映画自体は1時間半を若干越える尺なのですが、ホラー特有の驚かせるような効果音はなく、あくまでも静かな展開です。
眩しい太陽、輝く海、港町の白い壁・・・・子供達の笑顔。
冒頭と言い、嫌悪なほどのギャップを感じる映画です。

ちなみに、この同じ年に『オーメン』が制作されています。



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