久しぶりにアルバトロスからパワフルな作品が出ました。
それはこれ、『アメリカン・クライム』

主演は今や売れっ子のエレン・ペイジ。
よくぞこんな脚本読んで出たもんだと思いましたが、『JUNO』で売れる前に撮ってたようです。

内容は実際に起きた陰惨な事件を基にしていて、裁判劇を進行させながら事件真相を回想させていく流れとなっています。

事件と言うのは、1965年インディアナ州で起きたある一家の児童虐待の事ですが、米国では有名な事件でジャック・ケッチャムの『隣の家の少女』もこの事件をモチーフに描かれています。
事件そのものは日本での「女子高生コンクリート殺人」に並ぶほどの凶悪事件です。

もしこの事件をご存知ない方は、映画を先に見る事をお勧めします。
概要を知って映画に臨むと、次がどうなるのか予想できるだけに最後まで見るのが一層辛くなると思います。



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両親がカーニバルであちこちを巡業する仕事だったため、シルヴィアと妹のジェニーはガートルード・バニシェフスキーと言うシングルマザーの女性に預けられる。ガートルード家には7人も子供がいるためとても女手1つでは養えず、2人を預かる事でシッター代を稼ごうと思い立ったのだった。 子供達はしばらく仲良く暮らしていたのだが、ガートルード家の長女・ポーラがついた嘘とシルヴィアの親が送ってくるはずのシッター代が少し遅れた事が重なり、ガートルードはシルヴィアに「お仕置き」を加え始める。


ところがこのお仕置きは常軌を逸脱していて、煙草を体に押し付けたり皮ベルトを振り下ろしたり。

ついにシルヴィアは地下へ監禁され、ガートルードだけではなく子供達も一緒になって虐待を繰り返すようになります。
子供達は絶対の存在である母親容認の虐待であるため、次第に罪の意識は薄れゆき遊びの感覚です。
そしてその遊びに楽しさを覚え、近所の友達を誘っての虐待にまでエスカレート。虐待と言うか暴行ですね。

エレン・ペイジは『JUNO』や『ハードキャンディ』での活発でしたたかなイメージがあるのですが、この作品においては非常におとなしく、ヤラれるがままです。

と言うのも、シルヴィアには小児性麻痺を患った妹・ジェニーがいたため、そのジェニーに手を出さないで欲しいという愛情ゆえにガートルードの呪縛から逃げる機会を失った感じです。

ところがこのジェニー、自分に被害が及ぶのだけを恐れて姉が虐待されている様子を、だんだん普通の眼差しで安全な位置から見下ろしているだけなんですよね。

ご近所にもシルヴィアの悲鳴が聞こえているのですが、田舎独特の閉鎖感と言うか「巻き込まれちゃ敵わない」的なムードが、事件を深刻化させていると思います。

この鬼のようなガートルードを演じるのはキャサリン・キーナー。
貧乏で安っぽい服を着ていても、そこはかとなく溢れ出る色気・・。
彼女は喘息を患っていて、キツそうなお薬をガブガブ飲んだりしています。
とにかくイライラするのも、この薬の副作用かもしれませんね。

金はない、長女は言う事聞かない、情夫からは殴られ金をせびられる。
自分の子供達には当たれない。そんな時、全てを黙って受け止めてくれるシルヴィアがターゲットになってしまったワケです。

実際のガートルードは正に「鬼ババァ」と言う形容が相応しいお顔をしていて、全く同情の余地を与えません。
それに対し、キャサリン・キーナーが演じるガートルードは「私も辛かったのよー。何となく同情できるっしょ?」と見えてしまい疑問を感じます。
裁判劇も加えて忠実に作品化しようとしているのなら、ガートルードを「完全なる悪」として表現してしまうのが1番ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

この作品は物議をかもし、どこも配給会社が決まらなかったそうです。
それで米国のTVで2時間ドラマとして流れたとな。
TVで流れるにはいささか刺激的な内容なのですが、さすがにそこはサッパリと撮っています。ガートルード家の子供達のほとんどを女の子に設定していると言うのも、オブラートに包んだ感じがします。
実際に起きた事件は、とても映像化できる内容ではありませんしね。鬼畜の所業としか思えません。

作品のラスト周辺は「えっ!?!?」となってしまうシーンがあるのですが、そこはさすがに映画的な表現で見る側によって捉え方が変わってきそうです。

このバニシェフスキーの事件は既にジャック・ケッチャムが『隣の家の少女』として書籍化していると書きましたが、更にそれを映画化した『THE GIRL NEXT DOOR 』と言うのも2007年に出ています。日本にはまだ来ていませんけどね。
『THE GIRL NEXT DOOR 』はケッチャムの原作に非常に忠実で、ガートルード婦人は貧乏臭さは無く派手な女性として描かれていました。
この記事はまた次回パー


画像の下に、実際の事件とラスト周辺について書いてますのでご注意下さい★


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実際に起きた内容こそホラーで、地下に監禁されたシルヴィアはガートルード家の子供や近所の子供達に代わる代わるレイプされてしまいます。
時に殴り続け、時に煙草の火を押し付け(150箇所に及んでいた)、食べ物の代わりに糞尿を食す事を強要。

16歳だったシルヴィアは、自らの尿にまみれたベッドで死亡しているのを発見され、一家は逮捕されました。亡くなったシルヴィアの腹部には、「i am a prostitute and proud of it」と言う文字が針で彫られていたらしいです。

しかしこのガートルード、刑務所内では「お母さん」と言うあだ名を付けられる程慕われるようになり、1985年に仮釈放を受けたとの事です。


作品のラスト周辺、シルヴィアはポーラの助けによって家から脱出する事に成功します。
両親の元に帰る事が叶ったシルヴィアですが、その後両親の車でガートルードの家に戻ってきます。
そこでシルヴィアが見たものは、自分が息絶えている姿でした。

これって???

私は、息絶える寸前に見たシルヴィアの妄想だったのかな?と捉えました。
逃げたい・両親の元に帰りたいと願うあまり妄想を見たものの、最後は現実に戻って死んでいったのでしょうか。