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ぐったりしている京子の首の動脈に手を当て、死んでいるのを確かめた雄一は、殴るのに使ったワインボトルを、持参してきた同じワインボトルと取り換え、京子が持っていたワインボトルを自分の袋に入れた。もともとこのワインは雄一がプレゼントとして京子に贈ったものだ。もうすでに付き合っていないが「また雄一と話がしたい」と言っては他に付き合っている男の話を聞かせたり、付き合っていた間にプレゼントをせがんでいた京子に対していい加減腹が立っていた。

戸やその他自分の指紋や痕跡が残らない事を確認して、そこを出た。誰にも見つからずにマンションから出て、電車で20分かかる新宿ニューヨークビル3Fに向かった。途中で京子を殴ったワインボトルを捨て、ビルの裏側から階段で昇り3Fに入った。

安田 雄一は会場設営を請け負っている会社で働いている。今日はこのニューヨークビル3Fがその現場である。会場設営には大概20人程度の臨時アルバイトを雇う事にしており、他のフロアにある会社の従業員や利用客などで慌ただしい。すぐに雄一は何気なく会場の荷物運びに加わり、3Fの催し事会場に荷物を運び始めた。

「安田、汗びっしょりだな。仕事しないのに?」

同僚の酒井が嫌味のように言ってきた。

「朝から腹が痛いのさ。」

「良いものしか食べないのに?ステーキの食べ過ぎか?はっはっはっ」

雄一は少しドキッとしたが冗談の様だ。

夕方5時頃ようやく仕事は終わり、明日から開催される着物の展示会の用意はできた。打ち合わせが終わり社へと戻ってきた。そこでアルバイト社員に対して今日のアルバイト料を払い、日報を書いて退社した。