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8月半ばとなったある日、工事現場にて従業員の一人、林が嘔吐し始めた。暑さと前日かなり酒を飲んだせいだろうか。しばらくしてまた嘔吐し、ついに横になって、「救急車呼んで欲しいぞな」と言い始めたが、「大丈夫ですらい」と誰も呼ばなかった。次の日、今度は森が嘔吐し始めた。日陰でついに横になり数回嘔吐して「救急車呼びさいや」と言ったその森に林が、「大丈夫ですらい、食べ過ぎやけんね、少し吐いた方がええんよ」里村はその場に居合わせなかったが、後でその住民の本心が分かる話を聞き不安で不安で帰りたくなった。

里村の来ているこのイノシシ村には、塾はおろか本屋もないしレンタルDVDも何もない。世間一般、田舎の人は都会の人と違って素朴で人情味があると言われるのは耳にしたことがある。しかし、里村は現実にはそうではない事実を嫌と言うほど感じる事になった。結局里村の田舎に見つけようとした情熱は、じかに接してみて見事に裏切られた。離婚者が多い事や現場での出来事等を思うと、表向きこそ争いはしていないが…。