夏休み前からずっと更新してませんでした。
そもそも「忙しいから」っていうのは一番いやらしい理由ですね~。

夏休み中はあまり勉強ははかどらなかったのですが、免疫について日本人の前で発表する機会があったため、みっちり勉強していたおかげで、現在進行中の授業 Immunologie(免疫学)がすらすら頭に入ってくれます。

これって、すごい。
日本語できちんと理解していれば、あの複雑なリンパ球・顆粒球・マクロファージのやり取りが苦もなく理解できちゃいます。
いや、逆に、
前知識がないと免疫学って難しいかも、と思う。
ま、いいです、私は前知識がありますから、前知識の無いクラスメートたちよ、がんばれ!って感じで。

土曜日もあいからわらず学校に出ていますが、先週から感染症について始まりました。
これは去年ずいぶん痛めつけられたテーマ。
もう一回授業に出ないと無理!と思っていたので、新しい先生のもとで習い始めたら、あら・・・、こんな簡単なことだったのね?とこれまたすんなりと頭に入りました。
というか、教えかたの上手な先生であったのもラッキーでした。病院で働いている現役のお医者さまですから、「今朝髄膜炎で18歳の若い子が運ばれて来て・・・」なんていうお話も聞けて、わたし、ほんと、この先生大好き!っていうくらいファンになりました。
土曜9時半から3時までの長丁場、彼のおかげであっという間。まじで嬉しいです。

現在進行中のテーマは
血液・リンパ
免疫学
感染症
と、すべてがコネクションしていて、重複する部分も多く、みっちり勉強できそうです。

あ~・・・、ようやく、ほんと、ようやく、学校が楽しい。
人並みに授業についていく事ができて、人並みに理解する事ができて、発言ができて、あ~人間になれたって実感してます。
クラスメートたちも、アグレッシブな人達がいなくなり、相互補助精神のある人達が多いし、とってもらくちん。少人数だからお互いに情報のやりとりをして仲がいいもの。

外国で学ぶことって本当に大変だけど、やっぱり最初の1年がしんどいし、それを乗り越えてしまえばなんとかなるんだな~と思う。
ようやく、夏休みです。
が、やることいっぱい、復習いっぱい。
1年間で習った事、
感染症
精神学/心理学
神経学、
呼吸器、
循環器、
応急処置、
内分泌、


そして様々な自然療法たち。
ホメオパシーを始め、電気針や、家族テラピー、ティッシュソルト、中国医学の基礎なんかもやったな~。

勉強、とっても楽しかったです。
というか、だんだん、少しずつ楽しくなったというのが正しいですね。

クラスのみんなに受け入れられていると実感できたのも嬉しかった。

特に今日は夏休み前最後の授業ですから、半分の6名しかいませんでした。
担当の先生も今日が最後、来学期からは来ないとの事。
今日の先生は半年かけてようやくましな授業ができるようになった人で、かなりの批判がクラス中を渦巻き、ボイコットする生徒もいたほど。
人間性はチャーミングで、おしゃれで素敵な人なんだけど、授業の進行が拙い。
人に教えるという経験の無い博士号を持つお医者様ですから、私たちのような稚拙なレベルによく我慢された事とと思います。
ルーマニア出身(ドイツ国籍)のその先生は、ウィーンで医学部を卒業し、ドイツで博士号を取得。循環器の専門だそうです。ちょっとなまりのあるドイツ語も、みんなからの批判の的でした。
「きちんとしたドイツ語を話す人でないと」なんていう生徒もいましたし。
生徒たちが暴走しても(私語や笑い)、なかなか取り締まってくれないのが、私にとっては一番きつかったかな。
「うっせ~!静かにしろ!」って何度叫びたかったか。

でも、今日は6名でしたから、言いましたよ。あまりにも弛んだ雰囲気にカツ!って感じで。
「Koenntet Ihr vielleicht leiser sein? Ich kann nicht zuhoeren!!」ってね!
(ちょっと静かにしてくれない?あたし聞き取れないの)

普段こんな事言わない人間から発せられましたから、水を打ったように静かになってくれました。
ご協力ありがとう!

いつもみんなが騒ぎだすといらついているのですが、一番前にすわってることもありなかなかみんなに気づいてもらえない。でも今日は苛つき度全開でしたから、みんながフォローしてくれた事!
先生までも「娘のクラスが日本について調べて、発表したのよ。しかも日本の国家まで歌ったの!」
すると他の生徒も「君も日本の国家歌えるよね!」だとか「あなたの今日の髪留め素敵よ、やっぱり日本の小物は素敵なのね」とか、「日本食を作れるなんて羨ましい!」だの。
みなさん、ありがとう。気を使ってくれて。
以前の尿検査で私の尿があまりにも他の人たちと違って健康的だったこともあって、「私(日本人)イコール健康的な食事をする人」というレッテルも貼られています。
普段休み時間に私が食べる玄米おにぎりをみて、前までは「うへ、何それ?」なんて気持ち悪がってた人も「私もあなたの食事方法を見習いたい、どうやって作るの?」と興味津々です。

普段のテストの結果だって、他のみんなに負けてませんから、私。
質問されたって、がんばって答えてるんですよ、文法には自信無いんだけどね。
でも、まだまだです。
私の目標はやっぱり、学んだ事をきちんと頭に整理して保存し、いつでも取り出せる状態でありたい。
それにはやっぱり日々努力。
今日の先生も「一滴ずつでも滴がたまれば池になるのよ」って言ってくれました。
彼女も博士号を取るまで努力された人。
そして、新しく内科医として診療所をオープンするとのこと。
彼女のがんばりに見習って、私も1年半後のテストでは胸を張って合格したい。
学校長のラモス女史に「あなたが合格する事は分かっていた!」と言われたいな~。

うおっしゃ、夏休みもこつことがんばるか!
マインドマップで学んだ事を整理するぞ~!
$ドイツで自然療法士目指す! Heilpraktiker in Deutschland-10.7.27.

明日、授業に出れば9月11日まで学校はおやすみ。
本当に1年間よく頑張ったな~と自分をほめたい!
1年前では考えられないほど、授業についていくのがラクになった。
しかも、間違ってもいいから発言することもいとわなくなった。

しかし、今日、意見が言えない自分がいました。
なぜなら「妊娠中絶」の話題になったからです。
日本の事情をよく知らないので、彼らの熱い議論を傾聴するのみ。
なかなかおもしろかったけど、意見が言えないのもつらいものです。
というか、意見が無いんだな、それについて考えた事が少ないから。

現在「呼吸器系」を勉強しています。
胎児が嚢胞性線維症 Mukoviszidoseに罹っていると、
妊娠中絶のindication(要件)となるという話が出たのです。


嚢胞性線維症はwikiによると

遺伝性疾患の一種で、常染色体劣性遺伝を示す。白人に高頻度で見られ、最も頻度の高いユダヤ人のアシュケナジーでは25人に1人は保因者である。原因は塩素イオンチャネル(CFTR)の遺伝子異常で、水分の流れに異常をきたし粘液の粘度が高くなる。鼻汁の粘性が強くなると副鼻腔に痛みを感じ、痰の粘性が強くなると、気道を閉塞し肺炎を繰り返すようになり、ついには気管支拡張症をきたす。アレルギー性気管支肺アスペルギルス症も併発しやすい。胆汁の粘性が強くなると、胆石をおこしたり、膵炎をおこしたり、肝機能障害からついには肝硬変をきたす。医療の発達により寿命はのびてきたとはいっても30代である。

ようするに、呼吸困難を伴って消化器官がやられているという遺伝性の病気な訳です。
胎児が遺伝していると分かった時点で中絶をする要件となる、
つまり、胎児が障害児なので中絶します、という決断が社会的に許されるということ。
妊娠中絶にはもちろん倫理的要件もあって「暴行などによって妊娠させられたばあい」
医学的要件「母体保護を必要とする場合」
社会的要件「経済的理由」
が妊娠中絶を行う際の条件となっているそうです。
これらはすべて母親に決定権があり、父親は決定権を持たないという事もドイツでは問題になってると言っていました。
夫の知らない間に、奥さんだけが、中絶する決断ができる訳ですからね。

ドイツでは以上のような要件をクリアしていれば中絶する事が可能だそうです。
(もしかしたら州によって違うかも、よく調べてないので分かりませんが)
もちろんこれは建前で
「働きたいから子供はいらない」
「ダウン症の子だから」「重度障害児を産む気はない」といった理由も
社会的要件などに含まれるそうです。

障害児だと分かったら?という議論が始まりました。
「自分に障害児は育てられないから中絶する、またはしてもらう(男性意見)」
というものから、
「どんな子供であろうと、命を絶ってしまう事は許されない」という熱い意見も。
「障害児が欲しくないから羊水検査をして、健康な胎児まで危険にさらすというのは本末転倒」
とかね。

私はどう考える?

とっても無責任な考えだけど、
やはり、その親に見合った子供が授けられるのでは、と思う。
この親には無理ってところには、赤ちゃんも選んでやって来ないという話、ドイツ人には一笑に付されそうだけど、その通りだな、と思うから。
授かった時点でその運命を受け入れる、という考えが一番ぴったりきます。
障害児だから中絶した、なんていうのは私は耐えられない。
一生十字架を背負って生きていくことになると思う。
もちろん、障害児の世話をしている人から見たら
「実際どんなに大変か分からないから、そんな事言ってるんだ」と言われて当然です。
本当に、その苦労を知りませんから。

その議論中のフォイヒテ先生の言葉が印象に残りました。
「もし嚢胞性線維症を患った自分の子供に『こんなに苦しい思いをするなら産んでほしくなかった』と言われたら、私はなんと答えたらいいか分からない・・・。自分の子供が呼吸するたびに苦しむ姿を私は見るに耐えれないと思う、自分の子供の苦しむ姿に耐えられる親なんてわずかだと思うわ」

ごもっともです。
私も、息子を授かってからは、子供が病気のドキュメンタリーなんて見れません。
自分と息子を重ねて見てしまうからね、そんなつらいことはできませんよ。

黙ってる私を見てフォイヒテ先生
「日本の事情はどうなの?indicationはあるの?」と振ってきた。

私、「indicationなんてとんでもない!日本は中絶天国ですよ。親が知らない間にティーンエイジャーが中絶する事だって可能です、indicationというより、母体の安全を考えて何週までに中絶が可能かというレベルですから」

これぐらいしか言えない自分が、そして日本人として、恥を感じました。

もう少し日本でも中絶について議論がなされてもいいのでは、と思った一日でした。