藤雄介 | 赫いわななき〜地獄編〜

赫いわななき〜地獄編〜

80年代歌謡曲をご紹介しているHP『赫いわななき』、こちらでは比較的最近リリースされた演歌・歌謡曲から強力チューンをご紹介していこうと思います。
80年代歌謡曲についてはこちらへ
『B級歌謡猟色図鑑 赫いわななき』
http://park17.wakwak.com/~nephila-cravata/

「男の街道」藤雄介
作詩/瀬戸内かおる 作曲/岸本健介 編曲/伊戸のりお
C/W 「玄海おとこ船」
作詩/瀬戸内かおる 作曲/岸本健介 編曲/伊戸のりお
キング KICB-2247 2005.08.03.

もう1曲、こちらもとびっきりの作品をご紹介。今年最後のレビューはこの方、藤雄介さんの「男の街道」です。

えーと、先にカムアウトしときますがワタクシ、藤雄介さんの事はほぼ知りません。ネット検索してやっと出身と誕生日が判明したぐらいで…あ、勿体ぶるわけないのでご出身は北九州の若松区、誕生日は3月6日ね。あ、検索してると同姓同名の演歌歌手の方が引っかかるんですが別人。「石狩川/北の旅情」(VPDA-20571)というシングルを1994年にリリースしている藤祐介さんという方が改名(または誤植)されてるみたい。

と、ほぼ情報がない状態の藤雄介さんを何で知ったかというとやはりコレ、CDショップ店頭で発見したのですね。今はネット販売でほぼ全てのものが購入出来る時代、俺も勿論利用してるんですが、やはり知らなかったモノに出逢うという醍醐味は店舗に足を運んで自らの五感いや七感をフル回転させて勝ち取る(んな大ゲサなw)のがイチバンだと思っておりますの。実際店頭でこのCD発見するまで藤さんの事知らなかったもんなぁ、こんなに隅から隅まで(大した事はない)ネットで調べてんのに…まだまだ自分の浅さを思い知らされ、さらに妖しい藪の中へ快楽求めて踏み出したくなる思いです。

そんなゴタクはいいか、曲の方をご紹介しなきゃね。両面とも瀬戸内かおる/岸本健介コンビの作品、このコンビでは夏木綾子さんとか割と書かれてるみたいですが、個人的に岸本健介さんと云うと中野美紀ちゃんの「破れたダイアリー」ですね。果てしない曇天に鬱々となるこの曲に呆然とした記憶が甦ります…70年代にもペニーレインや梓真由美なんかに曲提供している、ややフォーク調の作品を作られてた方という印象。
今年最後の脱線コーナーw 中野さんはスタ誕出身、明菜やKyon²とかと同じ花の82年組で青葉久美たんの善きライバルw。ペニーレインはフォークグループだったのにいつの間にかミニ穿かされてた方々ね。梓さんは未入手。ビクター専属だったのか?十朱幸代もそうよね

…脱線もいい加減にww
藤さんに書かれた岸本作品、「男の街道」はタイトル通りの人生語りモノ、C/Wの「玄海おとこ船」は明るい荒くれ船乗りモノって感じ?どちらも規定をはみ出さない安定の演歌作品という流れですな。カラオケも歌いやすそうだし(※俺にとっては難しいです)。
で、じゃあ何で態々ご紹介するかと云うと、やはり藤さんの歌唱がすンばらしいからなんすよっ‼️

前述通り経歴とか全然分かんないのでアレなんですが、恐らく藤さん、元々は演歌シンガーではなかったのかなぁと…いやヘンな意味じゃなくて歌うジャンルが違ってたとか?
“シンガー”としてはほぼ完璧です、漢らしい骨太の声と表現力は明らかにホンモノ。ただ、演歌歌手ぽいウナリではなく『シャウト』を感じるんですね。元はポップス/ロック系を歌われてたんじゃないかなーと妄想(まぁジャケ写から来る印象も大きいんですけど…なかなか攻めた髪型だしw
ジャケ裏。和服もこんなにワイルドに

いや、これが良いんです❗️
両曲とも男の一本気さを強調したような作品で普通の演歌歌手なら朗々とウナってくる処を甘雑にシャウティングする藤さん、カッケェ‼️断然こっちを支持しますわ。
所謂カラオケ演歌って基本歌い易く作られてると思うんでそれに乗って歌ってしまうと没個性になっちゃう。それに抗うように若さと欲望をぶつけて来る藤さんの歌唱、カラオケのお手本ではなく『歌手』として聴かせるならそう来なくっちゃね。つっても闇雲にぶつけるんじゃダメで根底に確かな歌唱力と緻密なセルフコントロールも身につけてる事が大事なんですが、そこも多分ご存知なんだろうと思います。この歌唱だけでおかわり三杯いけますわ。特に「玄海おとこ船」の荒くれヤンチャ感、汗と潮とハートの詰まった歌唱なんて満腹なのにもう一杯、もう一杯だけたのんます!って位よ。

そんな藤さんの絶品歌唱、2曲だけじゃ物足りねーって思うのは当然っしょ。探して来ましたよ2ndシングル。

「恋もよう」
作詩/勇福子 作曲/弦哲也 編曲/桜庭信幸
C/W「大地」
作詩/勇福子 作曲/弦哲也 編曲/桜庭信幸
キング KICM-30119 2007.12.16.

もうね、どうなっちゃってるんでしょう。前作から2年後にリリースされたこのシングル、それじゃなくてもバッチグな藤さんの歌唱なのに更にパワーアップしているなんてっ‼️

恐らく演歌歌手として活動する事で《ウケる演歌の歌い回しとは》も勉強されたであろう藤さん。でもそこに傾倒するのではなくご自身の中に取り入れてなお藤雄介としてのカラーも魅せようとしているのがありありと解る作品となってます。
これは作曲の弦哲也さんの力も大きいかな、雄っぽい藤さんの歌唱にしとどな濡れ演歌(しかもおんな唄)持って来るんだもの。当然藤さんも切なくヨガってくれてまして、コレもう絶品じゃけ。呟きと哭きと奏でを、控えめにでも全開放に表現してる「恋もよう」演歌というより和製バラッドと呼びたいくらいすよ。

C/Wの「大地」は「男の街道」を継ぐような人生モノですが、きちんとコブシとウナリを盛り込み演歌歌手らしさを見せつつ自身の魅力もしっかり発揮しているという理想的な展開となってます。やっぱ自分の芯が一本通ってる人の歌唱はどうやっても上手いね。しかも2年でこのパワーアップぶりだもの、グイグイ成長してるなぁ。
ジャケ裏。ヤンチャ感は抑えめに、その分シブ味を特盛にして…

こうなるともっともっと、牛の真似をするカエルのように破裂するくらい藤さんの歌唱を貪りたくなるんですがCDとして確認できるのはこの2作のみ。他に「愛の命」という曲が2012年頃に出ているようなんですが正体は確認出来ず(カラオケには配信されてるようです)、ファンの方が上げてらっしゃる動画で何曲か歌唱シーンが観れるんですがその中に1曲ギター弾き語りでカバー曲を歌ってるものがあり、あーやっぱ藤さんの本質はここなんだろうなぁと思ってみたり。

でもジャンルなんて混沌としてていいんだし俺は藤雄介さんの歌が聴きたいんじゃあ!!ネット上で確認できる歌手活動は2012年辺りまで(改名してたら分からんけど…ちなみにこの頃の藤さんは少しガタイ良くなって郷一扇さんぽくなってましたが)ライブはやってないのかなぁ…こうなったら幻?の「愛の命」の音源、どげんかして手に入れんと。皆様からの情報、切に切にお待ちしております。


さて、これで年内のブログはおしまい。今年はコロナ🦠の影響でイベントはほぼ中止、自分自身も仕事がmaxな時期があり(今の医療関係や店舗の方々には遠く及びませんが…)なかなか文章を書けなかったのですが、それでもたまに書くレビューをご覧下さった皆さん、本当にありがとうございました。
この感じだとすぐに収束、は無さそうな現状ですが、来年はコロナと共存しつつ経済が動いていくよう祈るばかり。歌手の皆さんにも早くステージに立って頂けるよう願っております。そしたらライブレポもバンバンお送りしますよ👍

年始はこのブログ恒例の「あかわなレコ大&紅白」も予定しておりますのでお娯しみに。それでは皆様良いお年を🌟