水瀬団 | 赫いわななき〜地獄編〜

赫いわななき〜地獄編〜

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「祈りたいの神様に」水瀬団
作詩/山上路夫 作曲/羽場仁志 編曲/菊谷智樹
C/W 「乱されて」
作詩/山上路夫 作曲/羽場仁志 編曲/菊谷智樹
フリーボード  FBCM-237 2019.09.25.

ふふふ、来ると思ったでしょ。

つーコトで次にご紹介するのはちょっとマジ曲。昨年度リリースの作品なんですが、もっと早く存在を知ってたら昨年度のあかわな大賞(このブログでやってるレコ大擬きね)地図もかなり変わってたんじゃないかと…てなくらいの逸曲なのよ。


水瀬団さん。1989年3月31日熊本県阿蘇市のご出身で、この曲でフリーボードからメジャーデビューとなっております。という事は今年31歳ですかぁうむ、薫味溢れる青年世代ですな。ついでにスペックは173㌢B型、趣味は『レコード収集(昭和歌謡)』だとか。この()部分が妙に気になったんですけど(笑)

で、この水瀬さんのメジャーデビュー曲がここでご紹介する「祈りたいの神様に」なんですがもうタイトルから既に昭和臭プンプンでしょ。こりゃーたまらんわ。

作詩は山上路夫先生。まず今も現役ってのが凄いんですが、60年代中盤から数多くの詩を描かれてる大御所の方ですね。
ちょっと大御所過ぎるので取り敢えず思いついたものだけ…アグネスとか真理ちゃんとか思いつかず失礼wピンキーのは大っ好きな曲。いやその前に今はテルちゃんに夢中なの…チバテレで再放送してた『江戸を斬る』で完全にトリコになりまして。男性ヴォーカル作品ばっか思いついたのも意味がありそうです、女性はやっぱセンセーショナルな内容の方がね。


先生の作品、年代的な事もありますが“愛”とか“生きる”についてを真っ当に表現されてる歌詩が印象的かな。ウィキでは“ヒューマニズムあふれる”と表現されてましたが、どちらかというと清く前向き寄りかと。個人的には前向きっても泥にまみれてその中でクロールしてるような歌詩の方が好きなんでアレですが、山上先生が時々描かれる『教化されきった上でその運命に諾なう』ような世界は好きですね。代表曲のひとつでもある「世界は二人のために」なんて一点の曇りもない『愛の何という素晴らしさ』を説伏してて永遠の一本道を見るようですが、裏を返せば少しでも道を外すと両端は断崖…みたいな空恐ろしい幸福感も味わえます(←明らかに曲解。良い子はマネしないでね!)

そんな視点からこの「祈りたいの神様に」を聴き解いていくと思わず顔が綻んできますね。至上の愛を『神様に感謝』するんですもの。今の人たちが『神様』というコンテンツに対してどういう印象を描くのかってのがまず分かりませんが、まぁターゲット層の方々ならキチンと理解するでしょう。罪も欲も、あらゆる穢れから隔離された唯一の存在、そんな神様に導かれて得た最后の恋…うーん何という馥郁な神の世界。こんな香味たっぷりのパワーワード、昨今使われてないんじゃないのかしら?

…と思ったら、それ以前に同じ山上先生の詩で「神様に祈りたいの」って曲がフリーボード からリリースされてたりするワケですがw
こちらは2015年リリース、浜崎久美子さんという方の「京杭運河」C/W曲。動画もなくてオト聴けなかったんでCD買いましたわよw浜崎さん、本職は名のあるシャンソニスタだそうです。


「神様に祈りたいの」、詩は同じではありませんが、まぁコンセプトは一緒ね。"こんなに幸せな時間を授けて下さった神様ありがとう"的な展開。

どちらも“これが最後の恋になる”事を予感してるんですが、実は水瀬さんの方はコンセプトの中に"人生の後半(というか終盤)になって訪れた幸福に戸惑いながら感謝する"という意図も入ってるんだそうな(インタビューで水瀬さんがコメントされてました)。恐らくこの主人公は実直な人生を送られてだんだろうなぁ。そんな人生の最後に咲き始めた大輪の花を惚けるままに咲かせてよいのか?みたいな自問・葛藤もありつつ、いや『神からの御加護』と理解してその幸せを受け入れていくのね…
そう、TVのインタビューに出られてたのよ水瀬さん!!あ、我らが千葉山貴公さんのラジオ番組にも出られてましたが、こちらは『知里のミュージックエッセンスPart2』の1コーナーより。テーブルの前に並べられてるのはプロフでご紹介した趣味の収集レコードよ!本人がお好きらしいピーナッツメインの提示でしたがよく見ると渡辺順子や斉藤チヤ子の盤も。これはコレクターね…


そんな、一点を見定めてしまった感のある歌詩世界。ハマりますわなコレは。メロディも正統派の昭和歌謡感を散りばめたような展開になっており安心して聴けます。というかエチュードぽさを敢えて意識してんじゃないかなぁ。作曲の羽場仁志さんって80年代から活躍してる作曲家の方ですがどちらかと云うとポップお得意でしょ?西野妙子「純情可憐でごめんなさい」とかアンナアン「Love Somebody」とか極上でしょ(なぜミポリンや明菜を出さんw)このメロディはわざとエチュードライクに練ってイノセント感を演出したんだと思う…この策略にワタクシ、まんまと沁みております。

歌唱シーンは公式HPでPVが観れるんですがコレがやたらと豪華。イントロから荘厳な感じで始まり、
そのあとも水瀬さんの一途な歌心をむき出しにするようなシーンでいっぱい!
これは淑女の皆様、タマらないんじゃなくて?
画像、PVよりお借りしましたm(_ _)m

水瀬さん、メジャーデビュー曲だからなのか可成りイノセント感強めの歌い方。ヴォーカルトレーナーの事も前述のインタビューで話してらっしゃったので、この曲に対してどう歌えば聴く側の一番いい処にアタるかを熟考された上でのヴォーカルを選択されてると思います。この作品、歌ウマ自慢系の知ったげな歌い方で表現されたくないもんね。
TV歌唱シーンも観れたんですが、この歌唱を真剣に表現しようとすると…そうねやっぱり眼がスワっちゃうのね(苦笑。いやそれがいいんです!断言


さてタイトル曲に負けず劣らず、こちらも相当一点見据えてらっしゃるわよC/W曲の「乱されて」。

やっぱりこれも詩がイッてます、心乱される程の出逢いに歩いてても頬が濡れ、そうだそうだわすべて捧げようってんですから。しかも、心を乱されたのならフツー虚ろな眼で半開きなはずでしょ(いやそれもどうかと…)ところがこの曲の主人公は乱された顚末を端然と、いや時たま白笑むように語られてるのよ。
乱されたことで何かが覚醒したとしか思えないこの感覚。第三者からはエキセントリックに見えようが、ホワイトアウトする多幸感にまみれて骨頂に昇り詰めた状態をデフォルトに設定してしまってるわね。こうなるともう怖いモノなし。ガチだわよ(いえだから曲解ですww

とまぁこれは特殊色眼鏡で細眼見してるからの感想ですので一般的には違うでしょうが、両面ともに感じられるのは『愛する事への静かな猪突猛進』。しかも人生折り返してる世代を設定に入れて躊躇いながらももう戻れないんだもの。この世界観、凄まじいわ…山上先生がどこまで意図しているのか聞いてみたい、本気で。もしかしたら若手演歌男子にお熱をアゲる淑女の皆様への応援歌、いや点け火のつもりでお書きになってるのでは…ヴェテランの職業作詩家だからこそ表現できるこの感覚に脱帽しまくっております。

こちらもタイトル曲の歌唱シーン、まず苗字を覚えてもらおうという事で衣裳は水色なんだそう。水色というよりはターコイズかな?一見控えめにしつつ中のシャツには蝶の模様が配らわれております。

メロディもタイトル曲より更に凝った創りになってるし(サビで途端に怪しくなるのがステキ、実質ワンハーフの詩なのにこんだけガクガク昂らせる展開もプロ仕事としか)、水瀬さんはあくまでイノセントに、眼の前の一点しか視えてないような歌唱はこの楽曲の解釈として満点いやそれ以上の畏ろしさ(=素晴らしさ)を表現されてると思います。ホント名唱だし、自分もカラオケであらぬ処を見定めながら歌いたくなる逸曲よ。

もうこれは、今からでも水瀬さんを応援しなければ!こんな時期ですので現場に行って応援とかはなかなか出来ませんが(つーかキャンペーンとか今なかなかやんないだろうけど)配信サイトでの動画アップとかは定期的にやってるようだし、どうやら最近はあの田中けいと君とユニット組んだりもしてるみたい(ユニット名は『えだまめ』。そのうち増殖してインゲンとかモロコシになって欲しい!w)。元気に活動を続けてらっしゃり安堵するとともに、これは絶対来たるライブには行かなくてはと決意。水瀬さんの生歌唱をいつか聴けると信じて…頑張って下さい‼️

やや千鳥ノブにも似てるような気もする水瀬さん。口元かなぁ。