学生時代に、千葉県でのグライダー競技会が終了した翌日に、ホームの栃木県の滑空場までグライダーを空輸した。
空輸というと、輸送機で運ぶと思われるが、グライダーの場合はエンジン付きの飛行機に曳航されて移動することを言う。
通常はグライダーを分解してトレーラーに積み込んで陸上を移動する。この方法だと人手を要する。
空輸なら、曳航索(ワイヤー)装着と、翼端保持のための補助者1名で済む。
競技会に続いて訓練合宿があったので、空輸することにした。
雲が低かったが、雲を避けながら順調に飛行して目的地の滑空場の上空に到着した。曳航索を離脱して着陸しようとした。
たまたま、霧雨が降っていた。キャノピー(風防)に細かい雨滴が付いて視界を遮った。大粒の雨ならそれ程問題がないのだが、霧雨には閉口した。グライダーのキャノピーにはワイパーは付いていない。(そもそも、雨の中の飛行を想定していない。)
当時読んだイギリスのグライダーの教科書に、「機体を壊すよりましだから、キャノピーを捨てろ。」という乱暴な記述があった。低速機なら問題ないが、私が操縦していたグライダーの着陸進入速度は時速100kmだった。キャノピーを捨てて前が見える保証はない。捨てたキャノピーが尾翼に衝突して壊す可能性も考えた。そうなったら、墜落して私の命は無くなる。更に、キャノピーが地上の人に当たる可能性もあった。
色々考えた末に、飛行を続けてキャノピー上の水滴が大きくなるのを待った。急降下して時速200km位の速度を出して、風圧で水滴を吹き飛ばした。前方の視界を確保してから着陸した。