犬連れキャンプ2
10月は例年、運動会やイベントで何かと忙しい。ところが今年に限ってポカンと、しかも10月の10日と11日の連休が空いた。キャンプの虫が動き出して、いろいろキャンプ場を探すが、なかなか犬連れOKで、しかも快適、落ちんオートキャンプ場は見つからない。急なこともあって子供たちが切望する、一緒に行くキャンプ好きファミリーも見つからない。結局、久々に家族だけでキャンプに行くことにした。
10日の午前中は長女の知佳の北大路テスト(京都市の有名な模試)があるので、準備時間はたっぷりある。朝からのんびりだらだらとキャンプの荷造りをする。お盆のキャンプはどしゃぶりの大雨だったので、キャンプ用品全体が何か少し湿っている感じがする。もちろん夏に帰宅後テントやシュラフは完全乾燥させているが、どうもコンテナボックスに入れていたものが、かなりカビっぽい。食器類は気持ち悪いので全部お母さんに洗い直してもらう。とりあえず、ランタンやツーバーナーにガソリンを満タンにして、荷造り後、カリブの屋根に放りあげる。ルーフキャリアーに先に積んでしまうと、家から出られない羽目に陥るので、車を道に出して積み込む。この小さい車に5人の人間と一匹のワンちゃんをのせて、みんなの着替えやキャンプ道具や犬用品まで積むのだから、少し車には可哀想なぐらい満載である。
イスは2脚とあとはコットで代用する。テントやスクリーンタープ必須アイテムなので外せないが、キッチンテーブルはお留守番っと。そうそう七輪は定番でコンパクトなので持ってこか。ランタンは大きいものを1個だけでええか。こうして荷物は最低限に絞った。ただ我が家は一人1個のリュックに1人分の着替えと決めているので、これが5個とシュラフが5本、これは削れない。ドッグフードも4食分皿や水入れ犬のおもちゃやリード等々けっこうな荷物である。
なんやかんやしても、2時間足らずで荷物の積み込みは終わる。末娘の未花とチェリー(ゴールデンレトリバーの雌・5カ月)とで、庭で遊んで長女の帰宅を今か今かと待つ。1時半ごろになってやっと娘が帰宅。あんまり模擬試験が出来なかったと云っていたが、そんなに落ち込んでいる様子ではない。中三になった知佳は今、受験生である。我々の中学時代と違って塾や英会話や英語それにピアノと、彼女のスケジュールはびっしりである。中一の健太郎(長男)はお気楽な一年生なので毎日野球に遊びに忙しいようだが、それでも週2回は遊びの延長のような塾通いをしている。今日びの子供はかわいそうなものである。
昨晩予約しておいた持ち帰り「ちゃんこ鍋」のセット(豚肉・鶏肉・鶏ミンチ・野菜等がパックされている)を両国というちゃんこ屋へ引き取りに行って、少し混んでいる国道9号線を北へ向かう。今回の行き先は「宇津渓公園」という昨年オープンの施設で、オートキャンプ場とコテージは連休なので当然だが、予約でいっぱいとのこと、われわれは河原のデイキャンプ場で我慢することにした。昨年の秋、まだオープンしたての時、コテージに泊まりに来たことがあるので、今回が2度目の訪問である。上桂川沿いの三角州状の土地に20サイト程度のオートキャンプサイトと3棟(来年には増築されるらしい)のコテージ、広い河原のデイキャンプ場は300人程度収容可(ただしこちらの施設はトイレだけ)という、こぢんまりしたキャンプ場である。
人なつっこい管理人のオッチャンは去年来たことを覚えていてくれて、「今年もいも堀りするけぇ?」「明日天気よかったらたのんますわ」そんな会話で、料金家族5人で2200円を支払って車のまま河原へ降りる。到着が3時過ぎというのもあって、ディキャンプ客がどんどん荷物を片づけている。気が付けば河原には、うちを含めて3パーティだけ。天気は少し暑いぐらいの快晴。これはゆっくり出来そうと、内心ほくそ笑んだ。犬が邪魔にならないように遠慮して端っこの方の一角をキープし、先ずはチェリーのリードをつなぐための杭打ち。
健太郎がデカイ方のハンマーでガンガン60センチペグを打ちこんで、それにチェリーをつないだ。次はみんなでテントとタープをササッと組み立てる。ところがチェリーはかまって欲しいらしく、作業の邪魔ばかりする。どだい、ペグの位置がテントに近すぎるのである。チェリーの妨害にもめげずスクリーンタープまで組み上ると、早速チェリーが中に入ってきた。「私の居場所はここよ!」と言わんばかりの顔でしっかり日陰をキープする本能はさすが犬の本能である。
よせばいいのに、健太郎が「この中だったら放してもいいやろ」と、スクリーンタープの中でチェリーのリードを外した瞬間、事件は起こった。タープの裾はペグが打っていない。そこから潜り込むように、チェリーは抜け出すと、一目散に、それも全速力で河原へ逃げて走り回った。大慌てで家族全員、チェリーを追いかける。自由の身になったチェリーは大喜びで広い河原を気持ち良さそうに駆けめぐる。それを家族全員で追いかけるという大チェイスの始まりである。他のキャンプ客も何事が起こったのかという感じで全員注目の大騒ぎ。しばらくして、全速力で疾走していたチェリーが突然スピードダウンした。よく見れば、高さ10センチぐらいの石にしたたか前脚をぶつけたようで、少しビッコをひいている。骨が折れていなければ良いが…。
無事御用となって、取り押さえられたチェリーは、それからはさすがに少し神妙になった。脚も少し打ったが、大丈夫なようである。ただ、もう逃げようという気力は失せていて、日陰を探しては寝そべっている。
夕暮れまでの僅かな時間、みんなでバレーボールを楽しむことにした。考えてみれば、我が家は私が中学と高校と小学校のPTAで、お母さんが幼稚園と小学校のPTAで、長女の知佳が中学校で、次女の未花が小学校で、つまり健太郎以外全員バレーボールをやっているというバレー一家なのである。みんなで円陣バレーをしていると、皆がまだ小さかった時のことを思い出す。1~2歳でまだよちよち歩きだった上二人と緑の広場でボール遊びをしていた時とを比べると、当たり前だが、ちゃんとバレーになっている。家族だけでバレーをする。こんな機会は滅多にない(ひょっとして最初で最後かもしれない)から、しっかり遊んでおこう。そんなこんなで昔を懐かしみながら、夕暮れまで、しばしバレーに熱中した。
日が暮れると辺りは真っ暗である。ちゃんこ鍋で夕食をとり、早々にタープの中で眠る。予想はしていたが、コットの上にシュラフを敷いて寝ていた私の真下にチェリー嬢はしっかり場所を確保している。何度外に出しても入ってくる。どうも私と一緒にこのスクリーンタープ(もちろんオールクローズでテント状態になっているが)の中でお休みになるおつもりらしい。クーンクーンという甘えた声と、ハーハーという息、それに動物特有の匂いで私は一晩中、熟睡出来ず寝不足のまま朝を迎えたのは言うまでもない。まぁ、こんなのもいいか。
次の日も天気は良かった。ゆっくりと片づけて、さあ芋掘りでも行くかと車に乗り込んだ途端、「あっ車のキーが無い!」スクリーンタープのポケットに入れておいた車のカギごと撤収してしまったらしい。せっかく積み込んだ荷物を崩して、ようやくキーを見つけ一安心。お約束通り芋掘りに行き、丸々と育ったサツマイモ約10個をお土産に京都へ戻った。たまには家族だけのキャンプもいいかもね。
1999年10月10日・11日
京都府北桑田郡京北町 宇津渓公園キャンプ場にて