日本は第三の開国の荒波を乗り越えられるか?
11/9(火) 横浜で開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力)の会議で主要議題になっているのは、TPP。加盟国間での関税を完全に撤廃し、事実上の貿易自由化をして、域内の経済を活性化させようというもの。夢物語だと思っていた交易自由化が、もうシンガポール、ブルネイ、ニュージーランド、チリの四か国間で始まっている。
これに、オーストラリア、ペルー、アメリカ、ベトナムが参加を表明していて、他に、マレーシア、カナダ、コロンビアなども参加を検討していて、いま、世界の貿易地図は、この環太平洋での関税フリーゾーン実現に向けて大きく舵が切られていると、言えるだろう。。。
ところが、日本は、農業政策が足かせになっていて、このTPPの参加へ消極的な勢力が大きい。実は、ここに、日本の政治と経済の大変大きな矛盾点が隠されている。日本のGDPのうち、農業、漁業、水産業など、第一次産業に関わる比率というのは、実はわずか1.5%ほどしかない。残り、98.5%が他の産業で生み出されているのだが、その比率と、政治家の選出に関わる農林票の間に大きなギャップがあるのやね。。。
つまり、悪く言えば、農林関係に従事する人達の意見は、他の人達に比べたら、不当に大きく反映されすぎている・・・という事にもなるわけや。。。特に選挙区制度は、地方の代表を選ぶ・・・として、地方の利益代表的に人選がされているため、どの産業に自分たちが関わっているか・・・という、産業別の利益代表は出にくいという問題点は有る。。。
つまり、日本の農業を守れという意見は、その関係者の数や、その稼ぎ出すGDPと比べると、実力以上に、過大やということなんやね。。。
多くの経済学者や経済アナリストなどは、この事を受けて、日本もTPPに参加すべきだとしている。もしこの枠組みに日本だけ入らなければ、日本からの輸入品には高い関税がかけられ、この枠組み域内からの輸入品は非課税となるなど、明かな差が出てしまうからなんや。。。
では、本当にもし日本がTPPに参加した時に、日本の農業は壊滅的な打撃を受けるのだろうか。。。輸入オレンジやら、海外産の牛肉などが解禁された時に、国内のオレンジ農家やら、畜産農家が、確かに大打撃は受けたやろ。でも、あくまで日本国内のマーケットでの話だから、日本人は有田ミカンやら、国産のオレンジを食べることは止めないし、安全で美味しい国産牛は、その価値が余計に高まったのかも知れないぐらいや。。。
外国産米が安いからって、日本人が買わないのは、前回の米不足騒動の時に、実証済みだし、逆に安全で美味しい日本の農産物を高い金を出してまで欲しいという海外の人は多い。。。。ここに日本の農業の生き残りの余地があるし、そうしなければ、生き残れない。。。補助金漬けの農業では、未来がないからね。。。
ただ、日本がTPPに参加したときに、一番気をつけなければならない事は、食糧安保の問題と、競争力の問題や。。。日本の食料自給率というのは、極端に低すぎる。日本人だけがお金持ちだった時代なら良いのだけれど、他の国に経済力が付いてきたら、日本は食料を手に入れるために、他の国と、競争して確保しなけりゃ、いけなくなる。。。現に、爆発的に肥大化している中国経済を背景に、中国に、買い負けしている日本商社の現状がある。。。
そして、これからは、向こうで作った食料を買うだけではなく、安定供給のために、日本の食品企業が、現地で作物を生産して、日本に送り込むルートを付けることが求められてくると思う。実際問題として、韓国や中国の企業はロシア東部の穀倉地を買いあさり始めているし、この食料戦争に負けると、日本人の胃袋を満たすのは、結局、自前しかなくなってくる。。。つまり、食料が武器になる時代が来るのやね。。。
そして、日本はもう一つ、競争力の問題で、不安がある。日本の政府は、日本国内の企業に手厚い保護や、多くの補助金をぶちこんでいる。。。この事が、日本の複雑なお役所制度と相まって、日本製品の輸出競争力を削いでいる部分があるのや。。。例えば、日本の法人税は異常に高いしね。。。
携帯電話を例にとっても、日本の携帯電話は優秀だけれど、それは日本国内の市場だけでの話。世界のマーケットでは、ノキアやサムスンが世界標準になってしまっている。これなんか、日本の総務省が世界の基準に日本の電波政策を合わせてこなかった決定的な失敗例やと思うで。。。本来やったら、世界制覇出来た日本企業の日本の得意分野。。。これを伸ばせなかった責任は大きい。。。
他にも、他の国が官民挙げて設備投資しているテレビや太陽光などのパネル事業。。。これでも後塵を敗しているし、日本がお得意やった、プラント輸出。工業や交通、発電、橋梁などの大型の受注は、ことごとく日本が敗れている。
官民一体で、賄賂でも何でもして、日本のODAを絡めてでも、取ってきた日本への受注。。。この事が、実はその地域での、日本の影響力の大きさを堅持してきたのに、これが、ここ最近はさっぱり・・・になった。。。ビジネスは、きれい事ではない。。。取ったモノ勝ちの世界では、そんなの通じない。。。何をしても注文が取れないと無能扱いされる。。。それだけのこと。。。政治家のトップセールスも、ここでも、大敗しているということや。。。
関税という防護壁を取り外すということは、輸出で食っている日本に取ったら大変有利に働く。。。ただ、輸入に頼る体質改善が同時になされなければ、逆に日本は、食料供給国の奴隷になる危険性も秘めている。。。このリスクをいかに回避しながら、日本経済を拡げていけるか。。。そもそも、外国企業に勝てなくては、明治維新、終戦以来と言われる、第三の開国する意義も薄れる。。。