誰にも忘れられない味っていうのがある。。。
7/27(火) 人間、味の記憶というものは、意外と鮮明に頭の中に残っているもので、あの時に食べたあの味・・・。なんていうのは、誰も一つや二つの「想い出の味」として記憶しているものやないやろうか。。。今日はそんな懐かしい味のお話。
私が今でも、食べたいなぁと思うもの。。。それは、「蛮から」という、京都に本社があったナガサキヤのあられである。ナガサキヤといえば、本当は洋菓子を作っていたお菓子メーカーやったけど、上場までしていたのに、残念ながら、数年前に倒産してしまった。
京都でカステーラと言えば、ナガサキヤ。ナガサキヤと言えばカステーラというほど有名なお菓子メーカーやった。京都だけやなく、全国の百貨店の食品売り場には必ず出店しているぐらい有名なメーカーさんやった。その洋菓子屋さんが、何故か、作っていたのが、蛮からという、おせんべいというか、あられというか。まぁ、あられの方が近いか。。。そのお菓子。。。
真っ白のお餅を焼いたものに、濃い口醤油とたっぷりの味醂で味付けした、一辺が8センチぐらいの正方形の形をした、この分厚いあられは、多分、お餅の部分が大変良い材料を使っていたのやろう。。。とても甘みのある、ほんと、美味しいあられやった。。。たまに、餅の部分に少し大きい目の亀裂があったりすると、そこに、甘辛い醤油だれが集中してかたまり、それがまた、えも言われないほど、うまかったんや。。。
私の小学生の時に、祖父が亡くなったのやけれど、その時の葬式に参列者に持って帰ってもらう粗供養が確か、この「蛮から」やった。。。こういうものは、少し多い目に取っておくものやったから、通夜と告別式が終わった後、しばらく家には、この蛮からが山積みになっていた。このあられは、亡くなったおじいちゃんも大好物やって、それでこのお菓子を引き菓子にしたという話を母から聞いたことがある。。。しばらくお八つは蛮から三昧・・・といううれしい記憶が忘れられへん。。。
あられは、スーパーなどでもよく売っていたけど、蛮からは、やや高級品だから、進物用にしか売られてない。だから、なかなか私の口の中に入る機会は少なかったのだけど、我が家では、機会あるごとにこのお菓子をお供えにしたり、粗供養にしたりしていて、楽しみに食べていた記憶がある。。。
私は、あのあられを、何とかもう一度食べたいと思うのだけれど、誠に残念ながら、もうナガサキヤというお菓子メーカーは倒産してしまって、もう、ない。。。食べたいと思っても食べられないものっていうのは、どうしても、味の記憶が妄想となって、頭が勝手に、無い物ねだりしてしまって、余計に美味しかったものとして、味の記憶が倍増して、美化されていくから不思議なものなんやね。。。
そういえば、もう一つ有った。。。私の家の近くにあった「三徳」っていう、夜泣きそば屋さんのラーメン屋さんや。。。高校時代の私は、年がら年中、バレーボールばっかりしていた。学校へ行くというより、クラブへ行っていたようなもの。。。毎日放課後はバレーばっかりして、時には朝練も。。。そんな高校時代を過ごしていたのやけれど、高校2年の夏の大会が終わると、クラブを辞めて、お受験体制に変わった。。。
もし、クラブを続けていたら、浪人になるのが確定的やったほど悲惨な成績やったし、何とかそうならんように、放課後は、急に帰宅組・・・に変わった。。。ただ、今までクラブまでしてたから、解らなかったけど、放課後って、意外と、何もやることがない。急にガリ勉になれるはずもない。。。。授業が終わって、友達と遊んだり、腹が減ったりしたら、王将の餃子とか、ミスターぎょうざとか天一のラーメン、とか、お好み焼きとか・・・よう、晩飯までの食いつなぎに何か食いに行っていた。。その頃は、よう腹が減ったからね。。。馬鹿ほど食うてた。。。
その中の私のお気に入りが、猪熊通の塩小路を下がったところの西側にあった三徳さんや。。。寺村っていう中華そばフリークの悪友と、ほんと良く通った。。。ここは、昔屋台で夜泣きそばを出されていたそうやけど、お歳になって、今は家の中の駐車場に屋台を置いて、調理場で麺をこさえて、ラーメンを売っていた。
一見すると、普通のお店には見えない、表の一間と屋台の近くに置かれた木製の机ひとつだけのお店。。。ここのラーメンがまたうまかったんや。。。私もラーメン・・・というより、中華そば・・・が好きで、いろいろと食べ歩くのやけれど、なかなか、ここと同じ味には出会えないのやね。。。
この三徳さんもご夫婦ともご高齢やったから、いつのまにか、お店が無くなってしまっていたのやけれど、無くなれば無くなったで、無性に食べたくなるものやね。。そういえば、同じラーメンで、新堀川通にあったミスターラーメンっていうとこ。太いストレート麺にやたらと大量の煮豚。。。ここも潰れちゃったけど、そんなに美味しくなかったのやけれど、無性にまた食べたくなったような味。。。何か別の感性としいうか、「引き」というか、そんなものが食べ物にはあるね。。。
大分前やけど、私がこの三徳さんのことをブログに書いたら、やっぱり、ここを、ご存知やった方からメールが来て、それに近い味が、堀川五条の北東角にある「大とら」さんで食べられますよと教えてもらった。。。。この大とらさん。実はお好み焼き屋さんなのやけど、以前は屋台のラーメンを引いていはったとかで、その関係で、お好み焼き屋さんになっても、ずっとラーメンもメニューにある。
味は、京都によくある鶏ガラベースのうっすら乳化したスープと濃い口醤油のややこってりした味。。。おばあちゃん一人でやったはるから、この味をずっとキープ出来るのは、もう限られた時間だけ・・・。この方がもし亡くなったら、もう食べられない味になってしまうのやね。。。
このメールをいただいた方が、何と、ご自身が南区の方でラーメン屋さんをやっておられる現役の店長さん。いろいろと味の研究をしてはるのやねと関心した。。。ただ、私もこの大とらさんに行ってみたけど、やっぱり三徳さんとは、似ていて違う味・・・に思えてしまう。。。懐かしの味っていうのは、その時食べた味の記憶を食べられない事によって、どんどん美化して行ってしまうから、とんでもなく、「うまかったはず・・・」に頭の中でなってしまっている。。。
多分、味だけではなくて、その時、一緒に食べた友達のこととか、お店の雰囲気とか、おばあちゃんの優しい笑顔とか、そんな良い想い出も一緒に記憶しているから、普通より、高いテンションで食べていたから、美味しく思えたのやろうね。。。と、勝手に結論づけてしもた。。。