お見舞いの、のし紙
4/23(月) ギフト業をしていると、いろんなことがある・・・。その中でも、けっこう、多いのが、京都のしきたりや、贈り物に関する常識・・・・などの「お問い合わせ」である・・・。先日も、うちにフリーダイヤルがかかってきて、病気のお見舞いにお菓子を持っていきたいのだが、のしはどうしたらよいのか?というお問い合わせがあった。
それにしても、この手の人は、いきなりフリーダイヤルで掛けてきて、全くうちで、その商品を買うつもりも、その気持ちすらも無いのに、お話ぶりが、いかにも、大上段の構えである。。。モノを教えてもらう人の態度ではない。。。少し、ご年配の女の方なのやけどね・・・。どうも、この手の人は、世の中の流れがどうなっているのかは、別問題で、何でも、サービス業なら、お客様からのご質問に、絶対服従で、答える義務がある・・・てな感じに思っている人が多い。。。まぁ、そんなことは、しゃあない。。。そんなの日常茶飯事やからね。。。
私のところは、京都市内でギフト店をやっている関係で、実は、いろいろなところから、少し悩むようなご質問を受けることが多いのである。それは、京都であるから・・・という、しきたり、とか、因習とか、伝統とかいう、イメージが強いからなんやろうね。。。シャディの本部からでさえ、聞いて来ることがある。京都では・・・という感じでお答え、しているのだが、この日は少し雰囲気が違った。。。
このお客様は、シャディさんでは・・・という、一企業としての公式見解を求めて来られたのである。。。こんなときは、いらん事は言わないで、本社のお客様センターに振ることにしている。というのも、実は、このお見舞いの品に付けるのしというのは、本を見ても、人に聞いても、かなり、見解が分かれることが多いからなのである。。。。
シャディのマニュアル本によれば、病気のお見舞いに使う「のし紙」は、贈るときには、水引が紅白5本の蝶結びのもの、または、白無地とある。ただ、地方によっては、結び切りとある。。。反対にお返しの時には、紅白5本結び切りか、赤一本となっている。つまり、けっこう、バラバラなのである。紅白5本蝶結びというのは、一番多くの場合に使う一般的なのし紙で、ほとんどんのお店で揃えてあるが、紅白5本結び切りや、赤一本、などは、揃えてない店の方が多いのではないやろうか。。。ウチには、有るけどね。。。
水引には大きく分けて、蝶結びと、結び切りの2種類があるのだが、何度でもあって良い事は、蝶結び、一度しかあってはならないものには、結び切りを使うのが多い。まぁ、ここまでは、常識として知っている人は多い。。。。結婚式や、葬式、快気祝いなどに、結び切りを使うのはこういう訳である。では、お見舞いはどうか。二度とあっては困ることであることから、結び切りにするのが良いと、おっしゃる方が有るのだが、この辺が、混乱の元凶になっている。。。
私の持っている、「京の儀式作法入門」という本によると、このことに詳しい。。。そもそも、熨斗は、本来、鮑(あわび)の肉を長く伸ばした、のし鮑の意味で、長く延ばすことから、延命とか、また、食すれば精を出し、命を延ばすと言われて、古来より、長生不死、つまり、長生きしてなかなか死なない妙薬の意味があって、珍重されてきたんやて・・・。これが、大切な進物の品や、武士の出陣、凱旋の折りには、必ずこの熨斗あわびが添えられていて、これをだんだん簡略化して、変わってきたものが熨斗なんや・・・。
この熨斗鮑(のしあわび)が、後に、三方に載せるだけになり、さらに、扇型をした紙折の中に小さな干しあわびを入れるだけの形になり、それが、さらに、簡略化され、現在では、その熨斗あわびも、模造品を入れるだけになり、さらに、それを絵に描いただけののし紙になって、随分と、ちゃっちいものになってきた・・・という訳である・・・。
ただ、現代においても、先様の健康や長寿を願い祈る儀式には欠かせないものとして、また、真新しく新鮮なものである表現として、この熨斗は一般的にちゃんと添えられている場合が多いようです。ただ、注意すべきは、熨斗はあくまでも、貝を延ばした「なまぐさもの」である為に、仏事には決して用いない・・・このことが大事です。。。
また、この本では、最近の病気見舞いには、もっともらしい理由を付けて「のし」を付けないで贈りなさい・・・と、まことしやかにご説明される方のことを批判していて、それは、全くの間違いで、のしを長生不死の妙薬として、お見舞いに、この熨斗を付けることが、最も相応しく、正しい礼儀作法であると、反論しています。
また、ほとんどの人が誤解している水引でも、お見舞いには、紅白の水引が最適であるとも言っています。お見舞いなのに、紅白?と、疑問を持つ人もおられるでしょうけど、紅白の水引は、お慶び事だけの水引ではなく、「陽の水引」と言って、明るく、力強いという意味がありますので、全快を願うお見舞いに使って、何ら問題はないとのことでした。
また、この本は、水引をかけず、白無地の金封や、掛け紙等が良いとされる、他の細木○子の書いたような、なんちゃって礼儀本にも、噛み付いていて、白無地は、本来、不祝儀に使用するもの。お奨めしません。。。と、キッパリ切り捨てている。。。
つまり、この、お見舞いギフトに関して言えば、どうやら、京都式では「紅白5本蝶結びの水引で、熨斗鮑が必ず着いたもので、お贈りするのが正しく、その他は間違いで、常識のない人か、モノを知らない田舎モノのアホや・・・と、決めつけているみたいやね。。。
それにしても、人間50年も生きてきたのに、まだまだ知らない事は多い・・・。京都人はいけずやから、常識のない人を徹底的に蔑んで、溜飲を下げる。。。こんな典型が、この手の京都通を生み出しているし、他の人をバカにすることによって、愉しんでいるようなところがあるから、これは、困ったもんやね。。。
でも、逆に言えば、それだから、京都はいつまでも伝統を守っていけるのやろうけどね。。。