シンドラーのリスト | 京都発、言いたい放題!~毎日更新~

シンドラーのリスト

6/13(火) あかん。。。昨日のワールドカップの初戦、オーストラリア戦の敗退・・・。勝てへんかったかなぁ。。。やっぱり、ワールドカップの本番は、そんな簡単に勝たしてくれるもんやない。。。日本の決定力不足を痛感した試合やった。。。選手の動きも、もひとつやったからね・・・。

 さて、落ち込み気味の火曜日。みんな、お疲れモードだけど、今日は、例のエレベーター事故の話題である。日本でのシェアがわずか1%というシンドラーエレベータ社が、昨日、スイスの本部から来た最高責任者による記者会見をしていた。日本政府から、やいのやいの言われて、やっと提出したエレベータ設置リスト。これがほんまの「シンドラーのリスト」なんやけど、この記者会見を聞いていて、はぁ~、やっぱり欧州の会社は違うなぁ・・・と、感じた。

 日本でこんな事故が起きて、人が死んだりすると、とりあえず先に謝ってしまってから・・・となるのだけれど、事故の原因は当社の設計したエレベータにありますとは、絶対に言わない。それどころか、当社の設計したエレベータが原因で亡くなった人は一人もいないと豪語までする。この辺の感覚は、日本の会社とは、ぜんぜん違うなぁ・・と感じた。そんなことを、言ってしまったら「非」を認めてしまうことになる。そしたら多額の賠償責任が全世界で生じて、会社が倒産するかも知れない。そんなところやろうね。。。

 日本人は、「情」で動く民族やし、欧米人は、「利」で動く人種やというのを、痛感するところやね・・・。シンドラーはオーチスに次いで、世界第二位のエレベータの会社。動く歩道などでは、世界のトップ企業なんやそうや。ところが、何故か日本でのシェアはものすごく低い。これは、提携先に恵まれなかったことと、日本人の極めて高いレベルのリクエストについてこられなかった。こんなところやろうね・・・。

 それでも、今回発表されたシンドラーのリストは全国で8834基のエレベータが動いているそうである。エレベータというものは、四角い箱をワイヤーで吊って、モーターで上げ下げするという、比較的単純な構造の機械であり、乗り物でもある。ところが、日本の会社が作るエレベータは、例えば10円玉をエレベータの床に立てて、これを倒すことなく地上70階まで時速130㎞ものスピードで移動させるという神業的なレベルのQCをやってのけている。

 床レベルの誤差も1センチのレベルではない。ミリのレベルでの誤差も調節してしまう。世界的に見たら、何もそこまで。。。というほどの技術力なんだそうである。ところが、これがやっぱり素晴らしい技術なだけあって価格が高い。競争入札なんかやる公共工事になると、どうしても価格競争になる。エレベータなんて、そこまでのレベルまで、こだわる人が少ないから、どうしても安い費用で導入する。だから、公共の建物なんかにシンドラー製のエレベータが納入される。

 地方自治体は、日本のエレベータメーカーの高レベルの性能と、メンテナンスのかからないほどの高い性能に、慣れっこになってしまっていて、エレベータの整備なんて、どこでも出来るもの。安いメンテ会社でも大丈夫やろうと、タカをくくっていたのやないやろうか・・・。ところが、このシンドラー社のエレベータは、安いから当然なんやけど、そんなに大したことなくて、修理や整備に意外と手間とコツが必要な代物やった・・・。

 他の日本製エレベータと同じ調子で整備点検していたメンテ会社は、他の日本メーカーと同じレベルしか、メンテに手間を掛けていなかった。本当は、この会社のエレベータは、もっともっと整備点検を厳しくやらなければならなかったかも知れない・・・・にも拘わらずである。。。これが今回の事故に繋がったと言えるのやろうね。。。ブレーキ部分にボルトのゆるみは見つかっているし、メーカーのメンテから14ヶ月間、責任有る整備が本当にちゃんと、やられていたかは大変疑問である。

今回の事故の不幸は、欧米のええかげんさと、日本の几帳面さの、差にあると思う。日本の「ものづくり」は、後から手間がかからないように、完全な100点満点の製品を作って納めるのが当たり前という考え方である。ところが、欧州の会社は、一旦とりあえず納めて、不具合をだんだん直して行く。。。そんな文化なんやないやろうか。最初は80点でもちゃんと面倒見ててあげたら100点になる。これを怠ると、60点以下になる。機械とは、そういうもんやという思想がある。この考え方の差が、この事件の根底にあるような気がするのだけれども、どうやろうか。。。。