老舗寿司屋には色々な「掟」がある。
まず、寿司屋には隠語があるのは有名なお話。
「あがり」=お茶
「おあいそ」=会計
「むらさき」=醤油
「シャリ」=すし飯
「ガリ」=生姜の酢漬け
「かっぱ巻き」=きゅうりの巻物
「鉄火巻き」=鮪の巻物etc.
隠語の中でも、お客側が使ってよいものと悪いものがあるらしい。
ただ大昔からある日本食の寿司を食べたいだけなのに作法とな、この段階で寿司屋は実に厄介だが、寿司屋の隠語の中にはお客側が使ってはいけない、マナー違反なもがあるらしい。
「あがり」
「おあいそ」
かっこよくはないが、つかってもマナー違反にはならないのではないか、アラマナー違反の隠語。
「むらさき」
「シャリ」
ここからは隠語ではなく、もはや他にどういう呼び名か分からなくなっている隠語。
「ガリ」
「かっぱ巻き」
「鉄火巻き」
寿司屋できゅうりを巻いて下さいなんて聞いたことないし、実際妖怪の河童を巻いていたら今世紀最大のニュースになるだろうし、そもそも河童がきゅうり好きだから、きゅうりイコール河童っていうのもよく分からない。
しかし隠語ではなく、ダイレクトな直球名詞なのだが、老舗寿司屋では決して口には出してはいけないワードがあるのだ。
老舗寿司屋の「掟」、それはサーモン。
このワードを口にするととんでもない目に合う。
ただ寿司屋でサーモンと注文しただけなのに。
寿司屋で「ミートソース」と注文した以上の反応がある。
実際、先日豊洲市場でお隣の訪日外国人がサーモンと禁句を言ってしまったのを目にした。
「掟」破りの外国人に対して
ないよ、うちはサーモンをおくようなお店ではない。
うちみたいなお店にはサーモンはおいてないよ。
そのお店は人気ランキングでも豊洲市場NO1.の行列必至の人気寿司屋だ。
あいにく外国人にはサーモンはないことは通じているようだが、「うちクラスの寿司屋にサーモンなんておくわけないだろ!」のプライドは全く伝わっていないようだったが、それを聞いていた周りの日本人にはビンビン伝わった。
豊洲の人気NO.1寿司屋は、築地だった時も人気NO.1の寿司屋であったが、そもそもは築地市場で働く魚河岸の人や仕入れにくる飲食店の人向けの食堂の位置付けなので、サーモンと言っただけで、そんなにいい返すほどなのか?と疑問に思う。
なにより、「サーモン=低級」との位置付けなんだろう。
確かに、40年以上前はサーモンなんて寿司屋になかった。
寿司屋にはなかったが、40年以上前スモークサーモンといえば低級どころか高級だったと記憶している。
フレンチでだされる前菜のスモークサーモンは子供ながら大好きだった。
丸くて小さくて酸っぱいケッパーや匂いのする草ディルが子供の頃は苦手であったことを思い出す。
なんで突然老舗寿司屋では口にも出してはいけないワードになってしまったんだろうか?
「ない」だけで十分なのではないだろうか?
実際庶民的な寿司屋のサーモン握りや炙ったサーモン握りは、とても美味しい。
外国人にも大人気なのだから、世界が認める美味しさなのだ。
100年後そのお店が営業しているなら、サーモンは絶対ださない、サーモンはおかないと言い切れるのだろうか?
100年後私は確実に確認できないが、サーモンおいていると思う。
ただ純粋にサーモンが美味しくて好きで、寿司屋でサーモンはあるか?と聞いただけなのに、サーモンを貶したりサーモンを頼む人を下にみたりする必要はないんじゃないか?
だったら外に書いておけ。
サーモンありません!うちクラスのお店ではサーモンあるか?と聞いてもいけないよ!
ってね。
頑ななプライドがあるから、年々街の老舗寿司屋が減っていってるのではないか?