平家物語の冒頭に年々魅了されていく。
栄華を誇った平家一門の滅びゆく姿を語る冒頭の一説。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵におなじ。
釈迦が説法したインドの寺院「祇園精舎」の鐘の音には、仏教用語でこの世の存在はすべて常に流動し変化するものであり、一瞬といえども同じことができないという意味の「諸行無常」、すなわち寺院の鐘の音も一度たりとも同じ音はない。
沙羅双樹の花の色は、今は花が美しく咲いているが、枯ない花などないことから、どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理をあらわしている。
今は世に栄え得意になっている者も、その栄えはずっとは続かず、まるで春の夜の夢のようである。
勢い盛んではげしい者も結局は滅び去り、まるで風に吹き飛ばされる塵と同じようである。
年々心に刺さり、納得する。
嫌なことも良いことも、同じことは二度とないのである。
美しさも繁栄も強さも、厳しさも辛さも寂しさも、いつかは終焉を迎える時がくる。
風が吹くだけで飛ばされる塵と同じである。
平家物語の作者は500年ぐらい生きた人なのか?
いや、タイムマシーンなのか?