専業主婦のころから
私の見たいテレビ番組は
録画して昼間に見るようにと
夫から言われていたので
番組録画は私の見たいものばかりが
多く残っている
整理するため
消せずに残していた
オリンピックの録画を見ていた
4年に一度の舞台で
10代の若い選手が
精一杯頑張っている姿を見て
すぐもらい泣きする
そんな年寄り年齢に
なってしまった私だけれど
そんな若い選手を見て
若い人たちの
本気の頑張りを見ていて
あれ?
じゃあ
私の人生っていったい
なにを精一杯がんばった?
私は
私の人生でやりたかったことは
いったい
なんだった?
そんなふうに
思い返してしまいました
スポーツ選手のように
一日中 何十時間も
なにかをがんばったことなど
なにもない
そこまで打ち込んだもの
なにもない
もう人生が終わってしまう人も
増えてきた年代の私
なんの才能もない
ただの人でしかない
社会の役にも
あまり立ってない
そんなでしかない私だけれど
私はただ
普通の家庭を築き
その中で普通に生きられたら
それでしあわせで
それが一番しあわせだと思っていた
育った家庭を
私は普通だと思えていなかったので
母親の機嫌に左右されて
いつもどこかが不安で
軽い障害のあった兄は
いつも責められていて
いつも家でも外でも
どこかビクビクしていて
人生が楽しい
生きていくのが楽しい
未来の希望を思い描くのは楽しい
そんな希望を感じるような空気は
家にはほとんどなく
だから
自分で家庭を持ったら
ただ普通に
普通のしあわせを大事にする
普通のしあわせを大事にできる
そんな暮らしをしたいと思っていた
そんな暮らしだけを
望んでいた
それだけだったのに
私はあのときも
私なりに
普通の暮らしを
精一杯
大事にしていたつもりだったのに
夫は
軽い気持ちで社内不倫をした
私が育った家庭環境のなかで
兄がらみでいくつもあった
小さな事件や大きな事件
両親の病気でもいろいろあり
たいていのことは冷静に受け止めて
ただ受け止めて乗り越える
たいていのことには
もう動じない
そんな自分だったのに
夫がした社内不倫
よくある浮気話
言ってしまえばおそらく
ただそれだけのこと
だけど
それを
乗り越えることは
私には全く出来ず
20年も
ただ
ただ
苦しみながら
時間だけをやり過ごしてしまった
私は
この20年のあいだに
いったい
どうしたら良かったのだろうと
思い返したところで
時間は戻って来ない
戻って来ないけれど
思ってしまう
私のこの20年は
なんのためにあったのだろう?
乗り越えられは
しないけれど
その先を
やり過ごすために
使った時間?
いま振り返れば
そうでしかない
不倫に耐え私が我慢して
そのまま暮らしていく
それだけの時間
それだけの時間でしかない
夫は
静かなひとになりつつあり
それでも
フラッシュバックした私から
LINE攻撃を受け
すみません
を
ただ繰り返す
私は
いま
やっと自らを
少しずつ知ることになった夫が
少しでも
あの頃の夫でなくなるよう
そのために使ったかのような
20年間の時間
私が過ごした
この20年もの長い時間で
その
一見静かそうな
この微妙な暮らしのなかに
ときどき垣間見える
夫という男の
夫のような男の本性
ただ
ただ
すみませんを繰り返すだけの男
そんな男の
本性をときどき感じながら
その男にわからないように
心の中で
深いため息をつく
それが人生だとしても
すみません男が
死ぬほど嫌