昨日の深夜
ぐぅぐぅ眠っている夫に
LINEした
 



 19年前の今頃は

 女と毎日会っていて帰って来なかったね

 毎年思い出すよ

 毎日飲んで酔ってるから

 その上での失敗とか

 怪我とか体調とかずっと心配してて

 寝られなかった

 時計とにらめっこして

 ああまだメール来ないなぁ

 ああやっぱりメール来ないなぁ

 新着メールを探すところ

 何度も何度も押した

 そして時間だけが過ぎて

 私の一日はなかなか終わらなくて

 また今日も深夜バスで帰るんだ…って

 まだまだ家には着かないな…

 って…

 私がそんな気持ちで毎日いる時に

 こんな時間帯に

 あなたは女と毎日ふたりの世界で

 イチャイチャしてたんだね

 いい歳したオッサンが部下の女と

 人目も憚らず

 どんなふたりなんだか…

 恥ずかしくて笑っちゃうね



 思い出さない年はないよ



 私はこの気持ちを

 これからどうやって持って

 やっていけばいいのかな…






そう送っていたら
夫がトイレに起きた



夫の隣で横になると
涙が溢れて
私は静かに涙を流した



夫は
私の様子に気がつき
腕をさすってきた




なんだか
余計に泣けてきて



夫はまだ
LINEを見ていなかったけれど



夫へ
あの時感じていた私の気持ちを
静かに話した



最後の家族旅行中も
夫は不倫中で
思えば
別人のように大人しく口数少なく
山を降りてきて
携帯の電波の圏内に入ったら
早速女からのメールを受信して
あなたは私と子供たちの目の前で
それを読んでいた
女が私に嫉妬しているという内容を
すました顔して静かに読んでいた
私が子供のスポーツの先輩お父さんから?
と聞いても
頷くでもなく否定するでもなく
冷静に…
そんなシーンを思い出して
最後の家族旅行を
夫と女に穢されたように感じる

私は
本当にそうやって
裏切られていたんだなぁって

仕事先の
若いご家族を見ていると
一生懸命夫婦で子育てしていて
子供のささやかな少しの成長を
夫婦で喜び合う
私と夫にも
そんなころが
あったのにな…って








19年たっても
まだこうして
沼に堕ちるときがあります




涙が流れるけれど
私の気持ちはたぶん
ほんの少し 
ほんの少しだけ
前とは変わりました




それでも


ただ 虚しくて
ただ ただ虚しくて


なくならないあの頃の記憶に
ただ
泣けてくるのです






そして

私の隣で
夫も
静かに

泣いていました