家庭的な良い夫良い父を装いながら

私に黙って女作って

女に無言電話させて

彼氏彼女気取りで逢瀬を繰り返して

人目も憚らずイチャイチャチューチューして

バレれば無言で謝りもせず認めもせず

離婚はしたくないと威張り

離婚届を揉みくちゃにして

いつまでもなぜ許さないと怒り

そんなに嫌なら自分が出て行けと私に言う

泣けば悔しくて泣くんだろ?と嘲笑う

そして17年経った今でも

そんな夫の相手だった女のすぐそばで

毎日働いている夫






「なぜいつまでも許さない?」





夫はそれが疑問だった

世の中には

許してくれている奥さんが沢山いるのに

なぜ自分の妻は

許してくれないのか夫は疑問だった




離婚したくないから

カタチだけは低姿勢で

やってバレたのは自分だから

まぁ仕方ない

そのうち何とかなるだろ?と

そんなつもりでここまでやってきた夫




夫は

自分さえ良ければいいという

思考の持ち主だった





その思考は

自分に都合の悪いことを

自分に都合良く考えられる思考だった




自分にとって都合の悪いことが

自分の都合の良いように変換される




それがどういうことだったのか

やっと私に

ぼんやりと

見えてきた

17年もかかりました

なんなら結婚してから30年





夫は

自分が正しいと思う思考回路なので

(まぁ人間はみんなそうと言えばそうなんですが)


自分がしたことがそんなにひどいことだと

全く思っていなかった

自分はいい人なので

自分が人を傷つけてるなんて思っていない 

ほんの気の迷いであると妻は理解していると

思っていた

ほんの気の迷いなので大した罪ではない

多くの妻は浮気を許すものだと思っていた

いつか妻は忘れてくれると思っていた

妻がここまで傷ついているなんて

そんなこと考えられなかった

絶対バレないと本気で思っていた

自分がモラハラ夫だなんて

微塵も思っていなかった





だから

私から見ていた夫は

能天気で

反省している人にはまるで見えなかったし





私たちは

なんなら

結婚した始めから

まるで噛み合っていなかったのだ




お互い 家庭を大事にしたいと

思い合う夫婦だと思っていた

私は思い込んでいた





なぜ許してもらえると思えるのか




許してもらいたかった夫が

自己愛性パーソナリティだった夫が

勝手に頭の中で

自分のしたことを許してもらえるべきことに

自分から妻を裏切ったのに

裏切ってなんかいないのだと


自分に良いように変換していたのだ




   妻を裏切った男




毎朝見る鏡に映った自分の顔に

ずっとそう書いてあった言葉

私にはハッキリと良く見えていた言葉

離婚したくないなら

なぜ自分で消さなかった?

毎日鏡であなたは何を見ていたの?

17年も

結局私にしか見えなかった言葉たち




17年もよく消さずに

そのままの姿であなたは居られたね…




やっと少し

見えるようになったみたいだけど





自分は妻を裏切って苦しめている男





ずっとその顔であなたは

あなたの人生をやってきたんだから

そんなに簡単に

消えやしないんだと



思ってしまうんだよ…私は…